●マツダ「AZ-1 マツダスピードバージョン」

　1980年代の終わりに、マツダはラインナップの拡大のため、販売チャネルを5つに増やしました。そのひとつであるオートザムから、1992年に発売されたのがオートザム「AZ-1」です。

　軽自動車史上で唯一無二のガルウイングドアを持つ2シータースポーツカーで、当時はライバルのホンダ「ビート」、スズキ「カプチーノ」以上の話題性がありました。

　外装にFRPを多用した720kgの軽量ボディに、スズキ「アルトワークス」に搭載された、最高出力64馬力の660cc直列3気筒DOHCターボエンジンをリアミッドシップに横置き搭載。

　また、ステアリングのロック・トゥ・ロック（左右にステアリングを回した際の最大回転数）が2.2回転と、国産車では類を見ないほどのクイックステアで、「公道を走るゴーカート」と称されたほどです。

　このAZ-1には「マツダスピードバージョン」というコンプリートカーが存在。シリーズはI／II／IIIと3回にわたって限定販売され、それぞれ、50台／100台／100台と、合計でも250台しか存在していません。

　ボディや内装にマツダスピード製のパーツが装着され、なかでもボンネットとバンパーの意匠が変更されたことで、フロントフェイスの印象がノーマルとは大きく異なります。

　また、スズキから「キャラ」の車名でAZ-1のOEM車が販売されましたが、キャラも相当にレアなモデルです。

　スタンダードのAZ-1の価格は149万8000円（消費税含まず）と、当時としてはかなり高額だったことや、実用性の無さもあって販売は苦戦を強いられ、1995年に生産を終えました。

　現在は、その特異なキャラクターが海外のコレクターたちからも好まれ、状態の良い物件は新車価格以上200万円前後で取引されており、数少ないマツダスピードバージョンでは250万円前後が相場となっています。

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　現在、コロナ禍にあっても、海外のセレブを対象にしたクルマのオークションは、オンラインで盛んにおこなわれています。

　そうしたオークションでは、生粋のクラシックカーだけでなく、今回紹介したような年式のモデルも出品されており、やはり空冷911の限定車はどれも人気が高い状況が続いています。

　その911で興味深いのが、日本から流出した個体が数多く出品されていることです。もともと日本の中古車は海外に比べて程度が良いといわれていますが、911のようなモデルはとくに大事に扱われており、改造も少なく、塗装もオリジナルを維持していることなどが、海外で高く評価されています。

　高級車のオークションの世界では、いまや日本の中古車市場が注目されていますが、さらなる海外流出も懸念されます。