ホンダ初代「インテグラ タイプR」は至高のチューニングカーだ! 最速と呼ばれたFFスポーツカーを振り返る

高性能化に一切の妥協がなかったインテグラ タイプR

 まず興味深いのはホンダ自ら初期モデルのインテグラ タイプR用エンジンを「B18C 96spec.R」と呼んでいたことです。つまり、後のバージョンアップをすでに予定していたことを示唆していました。

1999年に追加された充実装備の「インテグラ タイプR・X」
1999年に追加された充実装備の「インテグラ タイプR・X」

 1.8リッター直列4気筒VTECエンジンは最高出力200馬力を8000rpmで発揮。許容回転数は8400rpmで、この時のピストンスピードは24.4m/secと、完全にレーシングカー用エンジンの領域に到達。しかし、VTECの効果によって低回転域は犠牲になっていません。

 エンジンチューニングの手法としては圧縮比のアップと吸排気系の損失低減に加え、フリクション低減をおこなうことにより、耐久性と信頼性を確保しています。

 具体的には、ピストン重量を増加させることなくベースエンジンの10.6から11.1へと大幅な圧縮比アップ、専用のシングルポートインテークマニホールドと、集合部を鋭角化して排気抵抗ダウンを実現したエキゾーストマニホールドの採用、インテーク側のバルブ本体の軸を細径化、さらにインテークポートの手加工による研磨がおこなわれていました。

 ほかにもスロットルバルブ径を2mm大きくし、カムプロフィールの変更、コンロッドとクランクシャフトの強化などが図られ、エンジン関係だけでも約60点のパーツが新たに開発されたといいます。

 トランスミッションは5速MTのみとされ、2速から5速までのレシオを低く設定したクロスレシオ化を実施。

 ボディは3ドアハッチバックと4ドアハードトップセダンをラインナップし、なかでもセダンは、シビック タイプRを含めてもタイプRシリーズで唯一の5名乗車となっています。

 外観は専用のフロントアンダースポイラーに大型のリアスポイラーを装着して、迫力あるフォルムを演出。15インチホイールも専用デザインとなっています。

 ボディ剛性の強化は、フロントからリアまで4本のパフォーマンスロッドを装着することで実現。補強による重量増軽減のため、フロントのストラットタワーバーをアルミ材に変更しています。

 4輪ダブルウイッシュボーンのサスペンションでは、強化されたスプリングにより15mmの車高ダウン、ダンパーの減衰力とスタビライザー径など、総合的に強化しています。実際に街乗りが苦痛になるほどハードな足まわりでした。

 ほかにもアライメントの変更や、サスペンションのマウントブッシュの変更、ヘリカルLSDの採用で、回頭性と応答性が向上しています。

 内装ではMOMO製ステアリング、レカロ製バケットシート、チタン製シフトノブが装備され、機能以上に見た目にも高揚感がありました。

 また、追加されたパーツ以上に軽量化がおこなわれ、エアコンやオーディオ類はオプション扱いとし、防音のための装備も省略。バッテリーを小型化し、リアワイパーも外されるなど、トータルで約40kgが軽減され、3ドアで1060kg、セダンが1100kgの車重を実現しています。

 変更されたパーツや、ボディ補強、車重軽減など、手が入れられた箇所は多岐にわたり、ストイックなまでに性能向上に努めていたことがわかります。

※ ※ ※

 初代インテグラ タイプRは、当時FF最速と呼ばれ、NSXタイプRと同様に、ノーマルでもサーキットでスポーツ走行が可能なほど、高い基本性能を誇っていました。そして、さらなる進化を続けます。

 1998年のマイナーチェンジにより、エンジンが「B18C 98spec.R」にバージョンアップ。最高出力はそのままですが、4in1エキゾーストマニホールドを採用することで中速域のトルクアップを実現しました。

 ブレーキもフロント15インチにリアを14インチのディスクに代えられて強化。ホイールも4穴から5穴の16インチとしています。

 またサスペンションもチューニングされ操縦性を向上し、ボディもさらに剛性をアップ。外観ではリアバンパーにウイングタイプデザインを新採用し、内装にはエアバッグ対応MOMO製ステアリング、コクピット中央に「INTEGRA TYPE R 98spec.R」と刻まれた専用アルミ製バッヂが装着されました。

※ ※ ※

 その後、2001年に次世代の2リッターエンジンを搭載した2代目インテグラ タイプRがデビューし、さらなる高性能化が進みましたが、初代の軽量コンパクトなボディが失われたことは、マイナスに思った人もいたようです。

 2007年には人気低迷を理由にインテグラは消滅してしまいましたが、初代インテグラ タイプRから続くコンセプトは、現行モデルのシビック タイプRへと受け継がれています。

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1件のコメント

  1. 98specRの次があるだろ?俺は96specRと00'specRの4ドア(DB8)に乗ってた。
    00'specRはコンソールにシリアルナンバーがあって、新車で買うと、シリアルナンバーのキーホルダーも貰えたんや。
    当時を知らない方が記事書いたな。
    丸分かり。。オマケに3ドアばかりメディアも出して、4ドアはなかなか出さなかったなぁ、、、ホンダの売る気の無さが丸分かり。シビックのFD2の時には4ドアかよ〜って言う人もいたのにな。ホンダの4ドアの扱いがわかるな。
    00'specRって出て来ないんなら潜りか?

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