トヨタのハイブリッド専用車は終焉? プリウス・アクアの人気が急落した訳
圧倒的な販売を誇ったトヨタのハイブリッド専用車である「プリウス」と「アクア」が、昨今は売り上げを落としています。なぜ両車は人気を失いつつあるのでしょうか。
トヨタのハイブリッド専用車の人気が急落
過去の販売ランキングを振り返ると、トヨタ「プリウス」と「アクア」というハイブリッド専用車が、圧倒的な強さを誇りました。それが最近は大幅に下降しているのですが、一体なぜなのでしょうか。

2009年(暦年)から2012年までの国内販売ランキング順位を見ると、先代プリウスが軽自動車を含めて総合1位でした。
2013年には総合1位がアクアに入れ替わります。2014年の総合1位はダイハツ「タント」でしたが、小型/普通車の1位はアクア。2015年にはアクアが再び総合1位になり、2016年にはフルモデルチェンジを受けた現行プリウスが再び総合1位に返り咲きます。
2017年には、ホンダ「N-BOX」の現行モデルが登場して総合1位になりました。N-BOXは先代型も好調に売れましたが、国内販売の総合1位になったのは2017年が初めてです。
この後、国内販売の総合1位は一貫してN-BOXですが、小型/普通車に限ると、2017年の1位はプリウス、2018年は日産「ノート」(2位はアクアで3位はプリウス)、2019年は再びプリウスが1位を奪還しました。
このように、少なくとも小型/普通車の1位は、ハイブリッド専用車のプリウスとアクアがガッチリと押さえていたのです。
ところが2020年に入ると、小型/普通車の販売ランキング順位が一変しました。2020年1月から6月は、1位がトヨタ「ライズ」、2位がトヨタ「カローラ」、3位がホンダ「フィット」、4位がトヨタ「ヤリス」、5位がノートと続き、プリウスは9位、アクアは12位まで後退しています。
2020年はコロナ禍の影響で各メーカーとも生産と販売を滞らせたので、販売ランキング順位も、本来の人気を反映したものとはいえません。
それでも小型/普通車市場におけるプリウスの順位は、コロナ禍の影響が生じる前の2020年1月は7位、2月は9位に下がっていました。アクアも同様で、1月は8位、2月は5位です。前年同月に比べると、両車とも35%前後の大幅な減少でした。
売れ行きが下がった理由をトヨタの販売店に尋ねると、プリウスについては次のようにいいます。
「カローラが2019年9月にフルモデルチェンジをおこない、ステーションワゴンの『カローラツーリング』を中心に売れ行きを伸ばしました。
1.8リッターエンジンをベースにしたハイブリッドも用意され、プリウスに比べるとボディスタイルも馴染みやすく、安全装備は先進的です。カローラの販売が増えたことで、プリウスの売れ行きは下がりました」
カローラツーリングよりもプリウスのほうが優れているところはないのでしょうか。
「後席はプリウスが少し広いです。またプリウスは外観が個性的で、カローラツーリングに比べると、ハイブリッド車であることをアピールしやすいです。
そのために環境対応に力を入れる企業が社用車として使うときは、いまでもプリウスが好まれやすいです」(前出の販売店スタッフ)
ハイブリッド専用車というプリウスの価値を求めるユーザーもいますが、一般的には新型カローラツーリングを好む傾向が強く、プリウスはユーザーを奪われているようです。
ただしカローラの登録台数を見るときは、注意が必要です。5ナンバーサイズに収まる先代モデルにあたる「カローラアクシオ/フィールダー」やハッチバックの「カローラスポーツ」も台数に含めて、カローラの登録台数として公表されているからです。
カローラ全体に占めるアクシオ/フィールダーの販売比率は、2020年前半で19%と高いです。設計の新しい3ナンバーサイズのカローラは、ワゴンのカローラツーリングが50%、セダンは18%、5ドアハッチバックのカローラスポーツが13%と続きます。
従ってカローラツーリングに限ると、売れ行きはプリウスと同等ですが、ユーザーを奪われていることも確かです。




































