ホンダ最新「コンパクトSUV」に注目ッ! 「格上SUV超え」の“軽快さ”でスイスイ曲がる「四駆システム」が魅力! 新型「CR-V」や「ZR-V」とも乗り比べて分かった「ヴェゼルRS」を雪上で体感した実力とは?【試乗記】
雪道は怖いもの―そんなイメージを覆してくれるのがホンダ「ヴェゼル」の4WDです。前後トルク配分を積極的に制御するリアルタイム式4WDと軽量ボディによって、思いどおりに曲がる軽快なハンドリングを実現しています。雪道でも安心感と運転する楽しさを両立するその実力を、自動車ライターの工藤貴宏氏が雪上で体感しました。
雪上でもアクセル操作で自在に曲がる楽しさ
ホンダ「ヴェゼル」は、運転好きにとって雪道でのドライブが実に楽しいクルマ。2026年2月にクローズドのテストコースで乗った、スタッドレスタイヤを履いた「ヴェゼルRS」の雪道での走りは、実に活き活きとしたものでした。
その楽しさの理由はどこにあるのかといえば、気持ちよく曲がることに尽きます。ホンダが「リアルタイム式」と呼ぶ4WDの現行タイプ(第3世代)は電子制御を組み込み、必要に応じて多板クラッチを通じて積極的にリアへトルクを送る仕組み。
また2018年以降に登場したモデルでは、制御アルゴリズムを変更し、前輪が滑る前から後輪へトルク配分を行うことができる方式へと進化しています。滑りやすい路面での安定性を大きく向上させているというわけですね。

そんなヴェゼルの4WDシステムは、兄貴分である「ZR-V」や新型「CR-V」と基本的に同じ。
実は現行型ヴェゼルを皮切りに、前後駆動配分は従来の「フロント60:リア40」から「60:40~50:50」と、状況によってリアへより多くのトルクを振り分ける制御となり、ZR-Vや新型CR-Vにも継承されています(旧型CR-Vは現行ヴェゼル以前の登場なので60:40)。
だから後輪駆動ベースの4WDのように、アクセルオンでより気持ちよくクルマが曲がるようになっているわけですね。
しかし、ここで声を大にして言いたいのは「ヴェゼルの動きは兄貴分たちより軽快」だということ。
今回はZR-Vや新型CR-Vと乗り比べながら雪道でテストしてみましたが、もっとも運転が楽しいのはヴェゼルだったのです。
どうして(パワーユニットこそ違えど)4WDシステムは他と同じにもかかわらず、ヴェゼルがもっとも軽快で楽しく感じたのか。その答えは単純。純粋に車体が軽いからです。
試乗したヴェゼルRSの車両重量は1460kg。いっぽうZR-Vは1630kgで、CR-V RSは1830kg(いずれも4WDモデル)。
ZR-Vと比べて170kg、CR-Vとは370kgもの差があるのだから、やはり挙動の軽快さが違うのも当然ですよね。
雪道の運転が「怖い」ではなく「楽しい」と感じられるクルマに共通するポイントは、なんといってもドライバーの思いどおりにしっかり曲がることでしょう。
ヴェゼルの4WDモデルはそこが素晴らしく、前述のように旋回中に積極的にアクセルを踏んでいけばグイグイ曲がる。これは後輪により多くのトルクを振り分けるようになったことのメリットです。
一方で、旋回のはじめなどで「もっと向きを変えたい(車体を内側に向けて曲げたい)」と思ったら、アクセルをフッと抜けば気持ちよくノーズがインへ入っていく。
そのアクセルオンとアクセルオフの両面でクルマを曲げる動きが、「よく曲がるクルマ」と感じさせるものです。
曲がるきっかけづくりにアクセルオフ、旋回中はアクセルを踏み込んで曲がっていく―そんな積極的なアクセル操作で走行ラインをコントロールできるドライバーにとっては、「楽しい」とか「気持ちいい」と感じさせてくれるというわけです。
とはいえ、ヴェゼルの4WD(ほかのホンダの4WDも)は、運転を楽しむドライバーだけにメリットをもたらすものではありません。開発者は「一般のユーザーに安心してもらうことが何より大事」と言います。
そのうえで、「一般的なユーザーが4WDのメリットや良し悪しを実感できるポイント」というのが発進です。
ヴェゼルは雪道で停止状態からアクセルをグイッと踏み込んでもホイールスピンすることなく、スルスルと発進していく様子が見事で頼もしい。
前輪が一瞬滑ってから後輪へトルクを送るのではなく、FFベースの4WDながら前輪の一瞬の滑りもなく、4輪でしっかり地面をつかむ感じが好印象です。
これは冒頭で説明した「前輪が滑る前から後輪へのトルク配分を行う」ことのメリットと言えるでしょう。こうした感覚が安心感につながるのです。
またヴェゼルでは、後輪へ送るトルク配分を増やしたことで前輪の負担が減り、旋回中のアンダーステア抑制に大きな意味を持ちます。
つまり「旋回中に外側へ膨らんでいく」という、滑りやすい路面でありがちな“怖い挙動”を防ぐというわけ。これも一般的なユーザーが実感できるポイントでしょう。
またアクセルオフでクルマがイン側へ向きを変える挙動については、「滑りやすい交差点などで『思ったほど曲がらない』というときに、アクセルを戻せばスッと曲がるようにする」という開発者の意図があるそうです。
そう聞くと、もしかすると「それは曲がりすぎてスピンにつながるのでは?」と心配する人もいるかもしれません。
しかし、心配はいりません。スタビリティコントロールがフォローして車体を安定させてくれるからです。
いずれにせよ、ヴェゼルの4WDはアクセルワークでドライバーが思いどおりにクルマを曲げられるのが好印象。
車両重量の軽さによるコントロール性の良さも含め、いまもっとも雪道を気持ちよく走って楽しめる4WDの1台と言っていいでしょう。今回の試乗では、それを強く実感しました。ホンダの4WDも侮れませんね。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。





































