かつて憧れたNSXやスープラ復活も販売不振!? 日本のスポーツカーが低迷する訳

スポーツカー全盛期の1990年代に登場したホンダ「NSX」やトヨタ「スープラ」は、いったん歴史が途切れましたが、近年になって復活しました。しかしせっかく復活したにもかかわらず、販売が低迷しています。それは一体なぜなのでしょうか。

高性能スポーツカーは販売店も手に負えない存在!?

 最近はスポーツカーの人気が下がって車種も減りましたが、一度廃止されたクルマの復活も見られます。

 ホンダは2016年に「NSX」、トヨタも2019年に「スープラ」を蘇らせました。日産「GT-R」も2007年に復活し、デビューから10年以上を経過したいまも健在です。

現行モデルのスープラとNSX
現行モデルのスープラとNSX

 往年のNSX、スープラ、「スカイラインGT-R」は、スポーツカーが全盛だった1990年代に憧れの存在でした。約30年の歳月が経過したいまでも知名度は高いです。

 ところが上記3車種の売れ行きは、かなり減っています。NSXは2019年の登録台数が30台を下まわり、1か月に1台から3台程度です。

 スープラは2019年5月に復活して、約半年で800台から900台を登録しましたが、直近は堅調とはいえません。ちなみに30年ほど前は、1か月に2000台から3000台を登録したこともありました。

 現行GT-Rも1年間で700台から800台、1か月平均では60台少々です。

 スポーツカーの販売が低迷する背景には、どのような理由があるのでしょうか。

 まず最近はSUVが好調に売れており、スポーツカーは流行からはずれています。なおかつ価格も高いことがネックになっています。

 NSXの価格(消費税込、以下同様)は2420万円と突出しており、GT-Rも一番安価なピュアエディションが1082万8400円、最高価格のGT-R NISMOはNSXと同じ2420万円です。

 スープラは比較的求めやすいですが、それでもエントリーグレードの「SZ」の価格は499万5000円、人気の高い3リッターターボを搭載する最上級の「RZ」は702万7778円です。

 なお、この最上級グレードは、2020年10月の一部改良でさらに値上がりし、731万3000円となります。

 販売店にも売れ行きが伸びない理由を尋ねました。ホンダカーズでは以下のように返答しています。

「現行NSXは、点検や整備に特別な技術と設備を必要とするため、販売もパフォーマンスディーラーのみです。従ってNSXを販売できる店舗が限られ、山形県や滋賀県など、販売店がまったくない地域もあります。

 それから北米の工場が生産する輸入車なので、納期も分かりにくいです。1年から1年半ですが、仕様を煮詰めて問い合わせないと、メーカーから確かな日程が示されません。

 そして契約したときは、車両価格の10%に相当する240万円前後を振り込んでいただきます。売りにくいクルマなので、販売店のホームページには、NSXの情報を掲載しておりません」

 2420万円の価格は確かに高いですが、メルセデス・ベンツのAMG、ポルシェの上級モデルなどは、それに近い価格です。

 予算に余裕のあるホンダファンには欲しいユーザーもいると思いますが、納期が曖昧では購入しにくいでしょう。高級車は経営者が法人名義で買うことも多く、納期と決済の時期が不明瞭だと困ります。

 スープラについても販売店に尋ねました。

「スープラは3リッターターボエンジンを搭載するRZの人気が圧倒的です。そのために生産もRZを中心におこなっていますが、納期は4か月から6か月掛かります。

 生産をおこなうのがトヨタの工場ではなく、海外のマグナ・シュタイアなので生産規模も小さいです。そのために発注してから納車されるまでの期間も長いわけです」と説明されました。

 GT-Rについては「納期は時期によって変わりますが、3か月から4か月です」とのことで、スープラに比べると短いです。

 GT-Rの発売は2007年なので、いまでは約13年を経過しました。発売当時の価格は777万円でしたが、現在では前述の通りピュアエディションが1082万8400円です。消費税増税もありましたが、当初から約300万円値上げされています。

 GT-Rの基本設計の古さや値上げを考えると、1年間に700台から800台登録されれば堅調といえるでしょう。販売店では「GT-Rを何台も乗り継ぐお客さまも多いです」とコメントしており、熱心なファンが需要を支えています。

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