えっ、どこにスイッチ? ライト点灯やウインカー操作が難しい車3選

ハイビームになっていることに気がつかずに走行していると、前方車にあおり運転していると誤解されることがあります。しかし、輸入車の運転に慣れていないと、どうやってハイ/ロービームの切り替えをするのか戸惑うこともあります。そこで知らないとウインカーを出すことすらままならないクルマ3種をピックアップしました。

知らないとあおり運転になってしまう!? ハイ/ロービーム切り替え

 輸入車から日本車に乗り換えたとき、または日本車から輸入車に乗り換えたとき、ウインカーを点灯しようとして思わずワイパーを作動させてしまったという経験のある人は多いはずです。これはウインカーレバーとワイパーレバーが左右逆に取り付けられているために起こるのですが、そもそもどうやってウインカーを出すのかわからないクルマもあります。

欧州車はISO(国際標準化機構)の規格に準じているので、右ハンドル仕様でもウインカーレバーは左についています
欧州車はISO(国際標準化機構)の規格に準じているので、右ハンドル仕様でもウインカーレバーは左についています

 岩手県大槌町の副町長が、公用車を運転中にあおり運転をしたとして、県警高速隊から大槌町に連絡が入りました。どうして大槌町に連絡がいったのかというと、そのクルマが大槌町の公用車だったからです。

 その公用車は東日本大震災後に、プジョー・シトロエン・ジャポンから復興支援のために寄付された50台のクルマのうちの1台でした。寄付された車両は右ハンドル仕様でしたが、日本車と違ってウインカーレバーが左についており、運転していた副町長は輸入車の運転に不慣れなため、ハイビームになっていることに気がつかずに釜石自動車道を走行し続けたようです。

 前述のプジョーは、ウインカーレバーとワイパーレバーが日本車とは左右逆になっているだけですが、慣れない人は気がつかずに走行してしまうこともあるようです。

 しかし、欧州車にはそもそもレバーがなく、どうやってハイビームを切り替えたりウインカーを点灯させるのかわからないクルマもあります。

 そこで、初めて運転するときにライト操作やウインカーを出すのにとまどってしまう3車種をピックアップして紹介します。

●レバーが4本もあるので、おもわず二度見してしまうマクラーレン

シンプルな内観ですが、レバーの数が多すぎて戸惑ってしまうマクラーレン
シンプルな内観ですが、レバーの数が多すぎて戸惑ってしまうマクラーレン

 MP4−12Cで市販モデルが復活したマクラーレンは、ドアを開ける際にそもそもレバーやハンドル類が一切なく、所定の場所を指でスワイプして開けるというギミックに凝っていました(その後、この方式はボタンスイッチに変更されました)。

 シートの調整スイッチもわかりづらい場所にあり、さらにその操作も直感的にできないという難解なクルマです。

 しかし、センターコンソール部にはスイッチ類も少なく、ステアリングホイールにはスイッチのたぐいが一切ありません。

 これはマクラーレンが、速く走ることを目指したリアルスポーツのメーカーであることを示しています。

 そのかわり、ステアリングコラムには左右に2本ずつのレバーがあります。ハイ/ロービームの切り替えやウインカーのレバーは、左側の上のレバーです。その下のレバーは、インストルメントクラスターディスプレイを使う際のレバーとなります。

 右側のレバーは、上がワイパーレバーで、下がクルーズコントロールのレバーとなります。

 最初にウインカーレバーが左だと確認すればいいのですが、ステアリングを10時10分の位置ではなく、8時20分の位置で握る人はとくに要注意です。うっかりインストルメントクラスターのレバーを操作してしまうかもしれません。

 ちなみに、灯火類を点灯するスイッチは、インストルメントパネルのドア側の下にありますが、右ハンドル仕様だとワイパーレバー、左ハンドル仕様だとウインカーレバーに隠れて非常にわかりづらいところにあり、知らないと探すのにひと苦労します。これは常に「AUTO」にしておくことが前提なのかもしれません。

 とはいえマクラーレンのコックピットの操作は、スマートフォンなどのデジタル機器を扱い慣れている人はすぐに慣れると思います。

●フェラーリはハイビームだけでなく、ホーンにも注意

フェラーリのコックピットは、左右対称にスイッチ類が配されているのが特徴
フェラーリのコックピットは、左右対称にスイッチ類が配されているのが特徴

 フェラーリといえば、F1を想像する人も多いでしょう。フェラーリの創設者エンツォは、レースをおこなうために市販モデルを売っていたといわれるほどレースに没頭していました。

 現行フェラーリのステアリングホイールには、F1マシンのそれを連想させるようにスイッチ類が数多く並んでいます。F1でもフェラーリ・チームを応援しているフェラーリオーナーにとっては、F1パイロットになった気分に浸れる嬉しい演出でもあります。

 これは単に演出というだけでなく、運転中にステアリングホイールから手を離すことなく、ドライブモードセレクターであるF1 DCTやウインカー、ハイビーム、サスペンションの設定などがおこなえるように設計されている側面もあります。

 しかし、ステアリングホイールの10時10分の位置にあるホーンボタンは、ステアリングを切っている最中におもわず押してしまい、ホーンを鳴らしてしまうこともあるので注意が必要です。

 肝心のハイビームのボタンですが、ステアリングのほぼ9時の位置にあります。

 日本での出番はありませんが、ドイツのアウトバーンやイタリアのアウトストラーダの追い越し車線を高速巡航中にこのスイッチがあると、ステアリングから手を離すことなく左親指でパッシングして走行車線を走る前方車に合図を送ることができるので非常に便利です。

 ちなみにターンインジケーターは右と左で分かれていて、右が3時の位置、左が9時の位置にあります。

●人間工学を考慮するも、本当は使いづらいランボルギーニ

ランボルギーニのコクピットは、ハニカム(六角形)がモチーフとなっている
ランボルギーニのコクピットは、ハニカム(六角形)がモチーフとなっている

 フェラーリと双璧をなすイタリアンスーパーカーメーカーといえばランボルギーニです。ランボルギーニもコックピットのスイッチ類を独自の路線で配置しています。

 アヴェンタドールまではウインカー&ハイ/ロービーム切り替えは、ステアリンコラムの左側にあるレバーでした。ステアリングホイールにはスイッチ類はありませんでした。

 しかし、ウラカンからはフェラーリのようにドライブモードセレクターをはじめ、各種操作のスイッチがステアリングホイールに取り付けられるようになりました。

 3時の位置にウォッシャーとワイパー、9時の位置にウインカーとハイ/ロービーム切り替え、7時から8時の位置にセンターメーターの切り替えスイッチが配されています。

 これには人間工学的な理由があるとランボルギーニの開発者は説明しています。

 人間は右脳が外部情報を瞬時にかつ直感的、総合的に認識、判断する働きをもっているので、右脳と直接つながっている身体の左側、つまり左手で操作できるようにステアリングの左側にウインカーとハイ/ロービーム切り替えのスイッチを配しているとのことです。

 見た目のかっこよさを重視して、スイッチを並べたのではないのです。

 たしかに人間工学的に考えられたウインカーとハイ/ロービーム切り替えのスイッチの位置ですが、そもそもスイッチの位置とその役割を知らなければ使うことはできません。

 灯火類の点灯は、窓側のエアコン吹出口の下に並んだ5つのスイッチでおこないますが、これも「AUTO」にしておけば問題ないでしょう。

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