日産「GT-R」とホンダ「NSX」買うならどっち? 国産スーパーカー頂上対決

コストパフォーマンスではGT-Rに軍配か!?

 もうひとつ、わかりやすい両車の違いがパワートレインです。

 GT-Rが従来通りのエンジン車なのに対して、NSXはモーターを組み合わせたハイブリッドです。いずれも駆動方式は4WDですが、エンジン搭載位置の違い(GT-Rが車両前部でNSXは車両中央部に積むミッドシップ)だけでなく、NSXは前輪をモーターだけで駆動するのも興味深い違いといえるでしょう。

ホンダ「NSX」
ホンダ「NSX」

 駆動力を生み出すメインは後輪としつつ、旋回時はモーターでフロントの左右輪に回転差をつけることで曲がろうとする力を強める「トルクベクタリング」としているのが特徴です。

 GT-Rの駆動方式は後輪をメインとして必要に応じて前輪にも駆動力を送るトルクスプリット式ですが、左右の駆動力配分はおこなっていません。

 では、エンジンはどうでしょうか。

 GT-Rのエンジンは排気量3.8リッターのV型6気筒ツインターボで、デビュー当時のスペックは最高出力480馬力/最大トルク588Nmでしたが、現行モデルは570馬力/633Nmまで引き上げられています。

 対してNSXは、同じV型6気筒ツインターボながら、排気量はGT-Rよりわずかに少ない3.5リッター。エンジンスペックは507馬力/550Nmですが、そこへフロント37馬力×2個とリア48馬力のモーターが加わり、パワートレインとしてのシステム出力は581馬力/646Nm。トータルとしてはGT-Rを上回っています。

 いずれにせよ、超高性能なパワートレインを持つGT-RとNSXの走りは、世界に通用する実力です。

 ただし加速感には違いがあり、GT-Rはカタパルトで押し出される戦闘機のように急激にGが立ち上がる、野性的な線の太い加速をするのに対し、NSXはエンジン回転上昇とともにリニアに加速度が高まっていく印象です。

 これはどちらが良いとか悪いとかではなく、「強いGT-R」と「爽快なNSX」という目指した走行感覚の違いといえるでしょう。

 目指したものの違いといえば、GT-Rは箱型の車体なので車体の感覚がつかみやすく、日常的にも運転がしやすいといえます。いっぽうNSXは、前方視界はかなり良好ですが、狭い場所での車体感覚はつかみにくく、その点もスーパーカーらしいと判断できます。日常的な運転のしやすさは、断然GT-Rがリードしています。

 ちなみに“スポーツカーの聖地”と言われるドイツのサーキット「ニュルブルクリンク」でのタイムアタックは、GT-Rが7分8秒679(2013年9月に「2014年式 GT-R NISMO N Attack Package」で記録)。市販モデルとしては歴代13位(2019年8月現在)とかなり上位に食い込んでいます。

 NSXは現在のところ公式ラップタイムを公開していません。これは「目的としているのはサーキットの速さではない」というホンダのメッセージともとれますが、登場が噂されているハイパフォーマンス仕様の「タイプR」が追加されたら、公式なタイムアタックが行われるかもしれません。

 価格については、GT-R 2020年モデルは1063万1520円(消費税込、以下同様)から。NSXは2370万円です。どちらも高価であることには変わりませんが、あれだけの性能を誇りつつNSXの半額以下と考えれば、GT-Rのコストパフォーマンスは極めて高いと判断できます。

 ただ、性能を極めたハイスペックモデルの「GT-R NISMO(ニスモ)」は2420万円で、こちらはNSXをも超える価格。ただし、もしNSXにタイプRが登場したら、こちらはさらに高いプライスとなることが想定されます。

 比べてみると、メーカーを代表するのと同時に日本代表といえる部分は共通する2台のハイパフォーマンスモデルながら、目指した方向は全く異なるということが理解できます。

オーラが凄い! 日産「GT-R」とホンダ「NSX」を画像でチェック(30枚)

【2023年最新】自動車保険満足度ランキングを見る

画像ギャラリー

Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

1 2

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

1件のコメント

  1. 日本を代表する地点では日本で開発、生産等一式やっているGT-Rでしょうね。
    走りの面でもGT-Rでしょ・・。
    今のNC型NSXは開発から生産等一式全て北米主体ですしね。実質アメ車だろうって感じです。でやった結果コレくらいで良いだろうと良くも悪くもアメリカな所出てかつて合った日常での使い勝手の分も走りの分も半端。スポーツ走行するとボロが出るよくで町を流すラジュアリーカーに成り下がった駄目車になってますし。旧型NA型NSXの相場が異常に上がり、かつて新車時よりまたNC型より高い相場で取引される個体が全てを語っていると思いますが

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー