速く走らせるなら四駆が当たり前! 高性能でハイパワーな4WDスポーツカー4選
かつてライバル関係だったスバルと三菱
●スバル「WRX STI」
スバルは、量産乗用車として世界で初めて四輪駆動車を発売したメーカーです。以降、絶えることなく4WDモデルを生産し続け、モータースポーツにも積極的にチャレンジしてきた歴史を持ちます。
そんなスバルの最新の4WDスポーツが「WRX STI」です。「WRX」は、もともと「インプレッサ」のスポーツグレードの名称でしたが、2014年にインプレッサの名が外れ、独立した車種という扱いになりました。
「STI」はWRXのなかでも最もスポーティなモデルに位置付けられており、トランスミッションも6速MTだけという硬派な設定です。
エンジンは、308馬力を発生する2リッターのツインスクロールターボエンジンを搭載。4つの制御モードから好みのセッティングを選べる「マルチモードDCCD方式」AWDシステムを採用し、俊敏な応答性とスムーズな回頭性を実現し、ドライバーの意のままの走りをサポートします。
なお、スバルは4WDのことをAWD(ALL WHEEL DRIVE)と呼び、低く縦置きした水平対向エンジンを核としたパワートレインが、左右対称で一直線にレイアウトされることから、そのパッケージングを「シンメトリカルAWD」と命名しています。
WRXには「S4」というモデルもありますが、こちらは2リッター水平対向4気筒直噴ターボエンジンとスポーツリニアトロニック(CVT)を組み合わせて、300馬力を発生。駆動方式はAWDですが、硬派なSTIとはひと味ちがう大人のスポーツセダンです。
●三菱「ランサーエボリューション」
現行モデルではありませんが、「インプレッサWRX」の好敵手として人気を二分したモデルといえば、三菱「ランサーエボリューション」です。通称「ランエボ」は、当時の最先端技術を惜しみなく投入したモンスターマシンでした。
1992年にデビューしたランサーエボリューションは、WRC(世界ラリー選手権)のホモロゲーション取得を目指すために限定スポーツモデルとして開発されました。
当時のインプレッサ同様に、250馬力を誇る2リッターのハイパワーターボエンジンを搭載。4WDスポーツの先駆けともいえるモデルでした。
その2年後には2代目へと進化。ラリーはもちろん、当時の市販車ベースの最高峰レース「グループN」などでも好成績を収め、1995年には3代目へと進化してさらに高性能化していきます。
1996年に登場した4代目ランエボは、左右の後輪の駆動力を変化させることで旋回性能の向上を図ったAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)の搭載など、ハイテクを導入します。
その高性能さは、1997年のWRCで三菱チームのトミ・マキネン選手がチャンピオンになることで証明され、1998年の5代目、1999年の6代目も、この4代目をベースに熟成が重ねられました。
ハイテク志向が鮮明になったのが、2001年デビューの7代目以降のモデルです。「ランサーセディア」をベースとして大型化し、さらに4輪の駆動力を自動制御するACD(アクティブ・センター・ディファレンシャル)を搭載しました。
レギュレーションの変更もあって、戦う舞台をスーパー耐久などに移行していったのもこの頃。2003年には8代目へ、2005年には9代目へと正常進化していきますが、まだ自主規制により280馬力でした。
そして2007年、最終形となる10代目がデビューします。ベース車両は、当時の「ギャランフォルティス」へと変更され、2008年のマイナーチェンジで、自主規制枠を外して300馬力ものハイパワーを誇るモンスターマシンになりました。
その後、スポーツカー人気の低迷もあり、2015年の「ファイナルエディション」を最後に、ランサーエボリューションの歴史は幕を降ろしました。しかし、当時のレースでの別格の強さもあって、現在では抜群の人気中古車となっています。
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技術の進歩により、弱点らしい弱点がなくなった4WDスポーツ。最近は4WDのイメージが強いSUVが売れ筋のなか、絶対的な速さとハイスペックで、スポーツカーのひとつのジャンルとして根強い人気を誇っています。
高性能ゆえの高価なモデルが多いですが、一度はハンドルを握ってみたい魅力的なモデルばかりです。
現行販売車種はこの内1種だけ