全長4.1m! トヨタ「小さな“4人乗り”スポーツカー」がスゴイ! ちょっと「ワイドボディ」&迫力ウィング採用! 直4+MTで楽しそうな「S-FR Racing」とは
トヨタが2015年秋開催の「第44回東京モーターショー」に出展したコンパクトなFR(後輪駆動)スポーツカー「S-FR」。その翌年公開されたS-FRをベースとしたサーキット仕様のコンセプトカー「S-FR Racing Concept(レーシングコンセプト)」とはどのようなモデルだったのでしょうか。
かわいいけど精悍!本気のレーシングカー仕様
世界各国で開催されるモーターショーには、時おり、「市販は秒読みか!」と期待されつつも、未だに発売が行われていないコンセプトカーが展示されることがあります。

トヨタが2015年秋開催の「第44回東京モーターショー」に出展したコンパクトなFR(後輪駆動)スポーツカー、「S-FR」もそのひとつです。
サイズは全長3900mm×全幅1695mm×全高1320mm、ホイールベース2480mm。昨今では珍しく5ナンバー規格に収まるコンパクトなボディながらも、ロングノーズのスポーツカーらしいフォルムを持っています。
その長いノーズ下、フロントミッドに直列4気筒エンジンを積み、6速マニュアルトランスミッションを組み合わせています。
乗員は4人で、屋根にはグラスルーフを採用していました。車体寸法以外の詳細は発表されなかったため、最高出力や排気量は不明なものの、排気量は1.5リッター程度と予想されました。
興味深いのは、スポーツカーといえばシャープで速そうなイメージが浮かびますが、S-FRのデザインは丸みを帯びたボディや円形の灯火類により愛嬌たっぷりだったことです。大きな口のような楕円形のグリルも特徴です。
ガチガチのスポーツカーというよりは、スポーティなエントリーカー、という印象も与えていました。
トヨタではすでにFRスポーツカーとして「86」を発売していましたが、S-FRは、それよりもボトムラインを担う、手軽なスポーツカーとして企画されました。
トヨタでは、「スポーツ800」や「カローラレビン」、「スプリンタートレノ」など、小さく軽量、必要十分なパワーでドライビングを楽しめる「ライトウェイトスポーツ」を伝統的に用意してきたことから、まさにその復活と呼べるS-FRの発表は大きな反響を呼びました。
そして展示されたS-FR自体も、コンセプトカーにありがちな過剰な意匠や、極端に大きなホイールを履かせることもなく、まるで市販車のような仕上がりを見せていただけに、市販化が大いに期待されました。
さらに翌年1月、S-FRをベースとしたサーキット仕様のコンセプトカー「S-FR Racing Concept(レーシングコンセプト)」を東京オートサロン2016に展示しました。
開発はTOYOTA GAZOO Racingが担当しています。CFRP(炭素繊維強化プラスチック)製フロントアンダースポイラー・カナード・リアスポイラーなどの大型エアロパーツを装着したほか、フェンダーを片側20mmずつ膨らませたボディは、それでも依然として全長4100mm×全幅1735mm×全高1270mmというコンパクトさを堅持。
エアアウトレットが設けられたエンジンフード、50mmダウンされた車高などにより、S-FRの可愛らしさそのままに、本格的なレーシングカーに変貌していました。
S-FR レーシングコンセプトについて、トヨタでは「S-FRの新たな世界観を提案する」とアナウンスしているほか、開発陣は、往年のレースで活躍した「KP61型スターレット」や、「AE86型カローラレビン/スプリンタートレノ」のレーシングカーのイメージも狙ったとも説明しています。
もしS-FR レーシングコンセプトのワンメイクレースが開催されれば、大いに盛り上がることでしょう。
このようにレーシングバージョンまで用意され、市販化間近かと思われたS-FRですが、残念ながら、市販化について現在の状況は不明なまま。開発が再始動した、という噂もあるだけに、今後に期待したいと思います。
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スポーツカーというものは、多くの人が「売って欲しい」と言う割に、いざ発売すると実際にはあまり売れない、ということが往々にしてあります。
しかし低価格で発売できるなら(+オートマチック車を設定すれば)、S-FRは「気軽に買えるスポーツカー」として、それなりの台数が売れるかもしれません。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。













































