脅威の246万円から! 「全長5m級セダン」特徴は? スタイリッシュボディの「N7」 中国で好調な販売を記録する訳
2025年4月に発売されたセダン(BEV)の日産「N7」。2025年7月に6455台を販売し、2か月連続で前月の販売記録を更新しました。
日産「N7」、2025年7月に6455台を販売して記録更新
日産の「N7」は2025年7月に6455台を販売し、2か月連続で前月の販売記録を更新しました。
大幅な赤字による工場閉鎖や人員削減など、暗い話題が続く日産ですが、一方で中国事業は好調な傾向にあります。
2025年上半期の中国における販売台数は前年同期比17.6%減の27.95万台を記録したものの、一方で2025年6月単体は5.38万台を販売して前年同月比1.9%増を記録しました。
業績の向上に一役買っているのが中国専売車「N7」です。

日産 N7は2025年4月に発売されたセダン(BEV)です。
全長4930 mm x 全幅1895 mm x 全高1484~1487 mm、ホイールベースが2915 mmと海外市場で販売しているセダン「アルティマ」よりも少し大きいサイズで、開発は以前から合弁を組んでいた「東風汽車」と進められました。
グレードはバッテリー容量58 kWh・モーター出力214 hpの「510」、そして73 kWh・268 hpの「625」の2つを主軸とし、装備の異なる「Air(510のみ)」「Pro」「Max」の3つのレベルを用意する計5モデル展開です。なお、駆動方式は全モデル共通で前輪駆動となります。
エクステリアではここ数年における流行りとなっているクーペ風スタイリングを取り入れ、伸びやかで先進性を感じさせるシルエットを体現。
4ドアセダンとなるので後部はハッチではなくトランクとなり、後端がダックテールのように仕上げている点ではスポーティさも感じさせます。
フロントは左右一体型デイライトを上部に、その下の「フの字」型ユニットではヘッドライトに加え、710個のLEDセグメントで文字や模様を表示できるディスプレイも一緒に配置されています。
N7は2025年4月に予約開始した際、開始数時間で1万件超、2025年6月上旬には累計で2万件を突破しました。
ヒットの裏には11.99-14.99万元(約246.5~308.1万円)という安さが影響しています。
この値段で高度な運転支援機能やフロントバンパーのLEDディスプレイ、あらゆる操作をタッチディスプレイに集約したコックピット設計など、中国の消費者が重視する「先進的な要素」も盛り込んだことで、これまでの日系BEVでは見られなかった異例の人気に繋がりました。
2025年7月には6455台を販売し、4月の665台、5月の3034台、6月の6189台に続いて前月の記録を3か月連続で更新。
地域別登録台数のデータを見ると、上位には「広州」や「上海」「成都」「武漢」「重慶」「長沙」「北京」といった「一線都市」に分類される大都市が名を連ねています。
日産はN7に続いて「N6」というセダンも2025年中の発売を予定しています。
N6はN7と似たようなデザインを有するも、ボディは若干小さく、パワートレインはプラグインハイブリッド(PHEV)となります。
日産はこれまでにPHEVを市販したことはありませんが、2025年に入って同じく中国専売のPHEVピックアップトラック「フロンティア プロ」を発表するなど、パワートレイン戦略における転換が見られます。
中国ではBEVと同じくPHEVへの人気も高く、より中国の需要にマッチしたラインナップを展開すべく、これまで揃えていなかったPHEVに手を出しているということでしょう。
日産のN7のように、トヨタが2025年3月に発売した中国専売BEV「bZ3X」も同じく大人気です。
2025年7月には6834台を販売し、N7と一緒に合弁系EVの販売台数ランキングにおいてワンツーを独占しました。
合弁相手との協業を通した現地開発がトレンドとなっている今、日本メーカーにとって巻き返しの時が訪れていると言えるでしょう。
Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト
下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。









































