なぜ5ナンバー車多い? SUV人気でも教習車に小型セダンが採用される理由とは
運転免許を取得するために、教習所で使用される教習車。その主流は現在、国産5ナンバーセダンとなっています。SUV人気など乗用車が多様化する中で、いったい何故その流れは変わらないのでしょうか。
5ナンバー?3ナンバー?教習車にそんな規定はありません
教習車というと、皆さんはどんな車種を思い浮かべるでしょうか?なかにはアウディ 「A3」やBMW 「320i」などの3ナンバー車を採用しているところもありますが、トヨタ 「カローラアクシオ」やホンダ「グレイス」など、国産5ナンバーセダンを採用している教習所がほとんどなのが現実です。
そんな教習車として使用できる車両の基準は、道路交通法施行規則第24条で以下のように定められています。
『乗車定員5人以上の専ら人を運搬する構造の普通自動車で長さが4.40メートル以上、幅が1.69メートル以上、最遠軸距が2.50メートル以上及び輪距が1.30メートル以上のもの』
この規定によると、5ナンバーや3ナンバーサイズであるとか、セダンであるなどの決まりはありません。ではなぜ、教習所で使用されている教習車は、国産5ナンバーサイズセダンが主流となっているのでしょうか。
アウディ「A3」、BMW「X1」、BMW 「320i」、マツダ「アクセラ」、ホンダ「グレイス」(2019年6月導入予定)と、教習車のバリエーションを幅広く採用するコヤマドライビングスクールに話を聞いてみました。
「一般的に教習所がセダンを使用し続けているというよりも、自動車メーカーが教習仕様車として販売しているのが、ほぼセダンタイプであるといったほうがいいかもしれません。
教習車両は、自動車販売店が架装メーカーに持ち込んで専用装備(補助ブレーキなど)を架装する場合と、自動車メーカーが販売している教習仕様のクルマを購入する方法があります。
自動車メーカーが販売している車両であれば、メーカー保証が付いているという利点があるので、取り入れている教習所が多いのではないでしょうか」
元々教習車としてメーカーが販売しているクルマの選択肢が、ほぼセダンであることが教習車に国産5ナンバーセダンが多い理由のようです。
指定自動車教習所の教習および検定で使用する車両は、「標準試験車両と同程度以上のもの」と定められています。また、標準試験車両の基準は警察庁通達で定められています。
アウディA3は全長がこの標準試験車両に足りないので、通常は使用されません。
また、BMW 320iとBMW X1は全幅が標準試験車両をオーバーしています。これは「同程度以上」であるため問題とはなりませんが、わざわざ難易度の上がる車両にすることはお客様ニーズに添わないため(お客様ニーズの最大公約数は最短時限で修了し検定に受かること)、使用するのは31時限のうちのせいぜい1~2時限ではないでしょうか。
なお、セダンタイプ以外の形にした場合、難易度が上がると見るか下がると見るか微妙で公安委員会の審査(使用する教習車両について必ず審査がある)を通らない可能性があるため、あえてワゴンや2ボックスを選ぶことは少ないと思います。
メーカーの言うこと(建前)と特殊な自動車学校1校の取材だけで記事を書くことはやや危険かと思いますので、コメントしました。