日産「新型“7人乗り”GTカー」誕生! “三種の神器”搭載で「後席も酔わない」フラットな走りを実現! 強豪「アルファード」にリベンジ挑む“最上級”グランドツアラー「新型エルグランド」のリアルな評価とは!
ライバルの台頭とその後の長い沈黙により、市場での立ち位置が大きく変化した日産「エルグランド」が、16年ぶりのフルモデルチェンジを実施しました。自動車研究家 山本シンヤ氏が実車の試乗や開発者への取材を通じて検証した、新型エルグランドの思想と走りの真髄についてじっくり紐解いていきます。
新型エルグランドは「大きな“高級セダン”」にあらず!
新型エルグランドのドライブモードは、複数用意されています。
「SPORT」を選択するとアクセルレスポンスが俊敏になり、濃厚なステアリングの手応えと姿勢変化を極力抑えた減衰設定で、「君はNISMOバージョンか?」と思うほどの一体感が増したクルマの動きです。

一方「COMFORT(コンフォート)」は、入力に対する角がとにかく丸く、ストローク感が高めで穏やかな減衰設定で、クルーザーのような、ゆったりしているけどフワフワしないクルマの動きと、各モードの変化具合が大きいことも嬉しいポイントでしょう。
ただ、欲を言えば常用域だと「STANDARD(=基準のモード)」と「COMFORT」の境界がややわかりにくい場面もあるので、むしろSTANDARDは路面状況やドライバーの操作をセンシングして最適制御する「AUTO」に進化させてほしいと感じたのも事実です。
とはいえ、総じて路面からの大きな衝撃を上手に受け流す足回りに仕上がっています。
ちなみにワンペダル走行が可能な「e-Pedal Step」をONにすると加減速のコントロール性は増しますが、新型エルグランドが目指した「滑らかな走り」と言う点では、OFFのほうが多くのドライバーと同乗者にとって自然で違和感のない仕上がりだと思います。

※ ※ ※
そろそろ結論にいきましょう。
多くの自動車メディアでは、ライバルと目されるトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」(アルヴェル)との比較が語られがちですが、筆者(山本シンヤ)は、両者のキャラクターは本質的に似て非なるものだと考えます。
アルヴェルは「高級セダンの大容量版」とするならば、対する新型エルグランドは「スカイライン」をはじめとする日産のDNAが息づく「GT(グランドツーリング)カーの大容量版」といえるでしょう。
GTカーに求められる本質は「より遠くに」、「より速く」、「より快適に」、「より安全に」、「より楽しく」移動できる“総合性能”の高さにあります。
新型エルグランドは「ドライバーが走らせて楽しく、同乗者が最も快適に過ごせる空間とは何か」という問いに対する日産の明確な解答となっています。
その結果、スペック競争や表面的な豪華さの追求や道具としての機能性だけに留まらず、乗る人すべての感性に訴えかける本格的なグランドツアラーとして、唯一無二の存在感を放つ1台に仕上がっていると思っています。
ただ、高度なシャシー制御などの「走りのための技術」は、見た目やモニターの大きさやシートのギミックなどと違って、カタログスペックや見た目では直感的に理解されにくい側面があるのも事実です。
ピッチやロールを緻密に抑える統合制御が、結果として「後席の家族が酔わない」「長距離でも疲れない」という最大のベネフィットを生んでいるということを、ユーザーへいかに分かりやすく可視化して伝えることができるか。
筆者はそれこそが、新型エルグランドの最大の“課題”だと思っています。
要するに「ハードだけでなく“ハート”もシッカリ伝えてね」と、日産には強くお願いしておきます。ユーザーは技術ではなく、クルマを買うわけですので。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。


















































































