通称「きのこミラー」なぜ姿を消した!? クルマの先端に「ピョコッ」と生えた“便利アイテム”が絶滅危惧種に!「ダサい」と否定されがちだった「補助ミラー」が消えたワケ
最近のSUVやミニバンから減少しつつある、通称「きのこミラー」。一体なぜ取り付ける必要が無くなったのでしょうか。
通称「きのこミラー」なぜ姿を消した!?
最近のSUVやミニバンを見て、ふと「あるもの」が無くなっていることに気づかないでしょうか。
かつて車高の高いクルマの左前方(助手席側のフェンダーやボンネット周辺)にちょこんと生えていた、通称「きのこミラー」と呼ばれる小さな補助確認用のミラーです。
少し前のモデルには当たり前のように装着されていたこのパーツですが、最新のクルマではほとんど見かけることがなくなりました。一体なぜ、きのこミラーは減少してしまったのでしょうか。
そもそも、このきのこミラー(正式には直前直左確認用の補助ミラー)が多くのクルマに装着されるようになったのは、2003年に施行された道路運送車両法の保安基準改正がきっかけです。
当時、背の高いSUVやミニバンにおいて、運転席から死角になりやすい車両の左前方や直前にいる小さな子供などを巻き込んでしまう悲惨な事故が問題視されていました。
そこで国は「高さ1メートルの円柱(子供などを想定)が、車両の直前および左側方に置かれた際に、運転席から目視あるいは鏡などを介して確認できなければならない」という厳しい視界基準(直前側方視界基準)を設けました。
この基準を手っ取り早く、かつ低コストでクリアするための苦肉の策として自動車メーカーが採用したのが、フェンダーやドアミラー下部に後付け感たっぷりに設置された「きのこミラー」だったのです。

このように、安全のために義務付けられた装備でしたが、ユーザーからの評価は決して高いものではありませんでした。
インターネット上やSNSの当時の反響を振り返ると、「せっかくのスタイリッシュなボディデザインが、あのキノコのせいで台無しになっている」「洗車の時に邪魔で仕方ない」「安全のためとは分かるけれど、正直不格好でダサい」といった、見た目に関する厳しい声が圧倒的多数を占めていました。
デザイン性を重視してクルマを選ぶユーザーにとって、きのこミラーは「仕方なく付いている邪魔な存在」として敬遠されがちだったのです。
そんなドライバーの不満を解消し、きのこミラーを不要にした救世主が、近年の「カメラとモニター技術」の飛躍的な進化です。
基準では「鏡など」で確認できれば良いとされているため、カメラの映像を車内のナビ画面などに映し出すことでも条件をクリアできます。
かつては高価だった車載カメラが安価になり、現在ではフロントグリルや左右のドアミラー下部に小型カメラを埋め込み、車両の周囲360度を上から見下ろしたように映し出す「アラウンドビューモニター」などの全周囲カメラシステムが一般化しました。
これにより、物理的な補助ミラーをフェンダーに突き出さなくても、デジタル技術によってより広く鮮明に死角を確認できるようになりました。
自動車メーカーもデザインの自由度を取り戻すべく、こぞってカメラ方式を採用し、きのこミラーは急速に新車市場から姿を消していったのです。
現在のネット上の意見を見ると、「最新のSUVはキノコがなくなってフロント周りが本当にスッキリしてカッコよくなった」「細い路地でのすれ違いは、小さなミラーを凝視するより大きなモニターにカメラ映像を映した方が圧倒的に見やすくて安全」「もうキノコには戻れない」と、技術の進化による恩恵を歓迎する声で溢れています。
一方で、「商用車(ハイエースなど)に付いているガッツミラーだけは、ギリギリまで幅寄せする時に実用的で今でも重宝している」といった、一部の車両における物理ミラーのタフな使い勝手を評価する意見も根強く残っています。
不格好と言われながらも長年ドライバーの死角を補い、歩行者の安全を守り続けてきたきのこミラー。
その役割は最新のデジタル技術へとバトンタッチされましたが、クルマの安全性とデザイン性がどのように両立されてきたかを語る上で、決して忘れることのできない過渡期の象徴と言えるでしょう。
Writer: くるまのニュース編集部
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