ホンダの斬新「ピュアスポーツカー」! 「NSX後継」と目された「和製スーパーカー」は300馬力V6エンジン&丸型テールランプ採用! 市販されなかった2003年公開の「HSC」とは
1990年に登場した初代NSXの後継車と目されたものの、市販化されなかった幻のスポーツカー「HSC」。それはどのようなクルマで、なぜ市販されなかったのでしょうか。
ワイド&ローな幻のスポーツカー
ホンダのスポーツ性を象徴するモデルとして、今なお多くのファンから愛されている「NSX」。その歴史の中で、市販されることなく姿を消した幻の後継モデルが存在したことをご存知でしょうか。
それが、2003年の「東京モーターショー」で公開されたコンセプトカー「HSC」です。
HSCは「Honda Sports Concept」の頭文字から名付けられました。そのコンセプトは「極限の高性能と、誰もが操れる自在性の融合」であり、ドライバーに高度なテクニックを強いることなく、走りの醍醐味を体感できるピュアスポーツを目指して開発されたモデルでした。
そのスタイリングは、全高1140mm×全幅1900mmというワイド&ローなプロポーションが特徴的です。2800mmという長いホイールベースと短いオーバーハングを持ち、盛り上がった前後フェンダーと滑らかなキャビンがソリッドな造形美を生み出していました。
ドアは斜め上に跳ね上がる構造を採用し、スパッと切り落とされたようなテールには丸型のテールランプが埋め込まれるなど、未来的ながらもスポーツカーとしての魅力を凝縮したデザインでした。

初代NSXが1990年に発売されてからすでに13年が経過していた当時、ボディサイズや車格が近いHSCは、次期NSXとしてメディアやファンの大きな期待を集めました。
リアウィンドウがボディサイドまで回り込むデザインは初代NSXを彷彿とさせつつ、よりシャープな印象を与えます。さらに、最高出力300psオーバーと公表された3リッターV型6気筒エンジンが横置きに搭載されている様子を覗ける小窓も設けられ、クルマ好きの心をくすぐる演出も施されていました。
しかし、このHSCがNSXの後継となることはありませんでした。
NSXが終売した2005年、ホンダはその後継モデルとして、フロントにV型10気筒エンジンを搭載し、「SH-AWD(スーパーハンドリング・オールホイールドライブ)」で4輪を駆動するFRスポーツカー「HSV-010」を開発していることを明らかにしたのです。
HSCがNSXの後継とならなかった理由は、主戦場である北米市場に向けたプレミアムな「アキュラ」ブランドの旗艦としては役不足だった、あるいはSH-AWDなどの新技術を投入するために全く新しいモデルが必要だった、といった背景が推測されます。
そのHSV-010もまた、悲運のモデルでした。ホンダの北米向けブランド「アキュラ」の旗艦モデルとして2010年の発売が予定されていましたが、2008年の世界金融危機(リーマン・ショック)の影響を受け、市販化計画は中止されてしまいます。
ところが、物語はここで終わりませんでした。2009年、ホンダは日本のレースカテゴリー「SUPER GT」に参戦していた「NSX GT」の後継マシンとして、開発が中止されたはずのHSV-010を選択。2010年からレースに参戦させることを決定したのです。これにより、市販されていないクルマがGT500クラスを走るという、極めて珍しい事例が生まれました。
初代NSXは、それまでの高性能スポーツカーが重視してこなかった快適性を両立させ、オートマチックトランスミッションでも高性能を楽しめるという新しい価値観を提示しました。
その後継となるはずだったHSCとHSV-010は、ともに市販という形で日の目を見ることはありませんでした。しかし、HSCが示したロングホイールベース&ショートオーバーハングのプロポーションや、HSV-010で採用されるはずだったSH-AWDといった技術の萌芽は、2016年に復活を果たした2代目NSXに確かに受け継がれています。
市販化には至らなかったものの、HSCとHSV-010という2台の幻のスポーツカーは、ホンダの絶え間ない挑戦の歴史を物語る存在であり、そのDNAは後のモデルへと確実に繋がり、ホンダのスポーツカー史に確かな足跡を残したと言えるでしょう。
Writer: くるまのニュース編集部
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