“国産&外車”の最新「“大排気量”オープンカー」が気持ちイイ! 間もなく終了のレクサス「V8」×メルセデスAMG「直6」を比較検証! 見えてきたそれぞれの“キャラ”とは
ダウンサイジングや電動化が進む今、大排気量エンジンが“絶滅危惧種”となりつつあります。今回は、そんな時代に逆行する大排気量V8搭載のレクサス「LC500 コンバーチブル」と、最新の直6電動化技術を駆使したメルセデスAMG「CLE53 4MATIC+カブリオレ」をピックアップ。対照的なアプローチで独自の“クセになる世界”を持つ日独のハイパフォーマンス4座オープンを乗り比べ、そのキャラクターと走りの違いを検証しました。
アクセルを踏めば「別世界」へ!? メルセデスAMGの“凄まじい二面性”
メルセデスAMGのCLE53 4MATIC+カブリオレに乗り換えてまず感動させられるのは、圧倒的なボディの重厚感です。
車輌重量はレクサス LC500 コンバーチブルの2050kgに対して、わずかに40kg重たい2090kg。にもかかわらずCLEカブリオレは、どっしりと大地に根を下ろしたかのような安定感を放っています。

その理由のひとつは、後輪駆動をベースとしながらも、CLE53 カブリオレが「4MATIC+」を搭載しているからでしょう。前後トルク配分は、0:100~50:50の間でフレキシブルに可変します。
常用域では恐らくほぼ後輪駆動となっているため、フロントへのトルク配分はあってもごく僅かでしょう。にも関わらず乗り味が重厚なのは、フロントアクスルの重さが接地感を高めているからでしょう。
対してパワーユニットは、拍子抜けしてしまうほど静かです。
しかし、その静けさにも理由があります。エンジンは、3リッターの直列6気筒。ここに電動スーパーチャージャーとターボを組み合わせ、さらにISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を全域で作動させて、滑らかな動力性能を実現します。
普通に走らせる限り、その乗り味は恐ろしくシームレス。車体の遮音性の高さも相まって、ソフトトップであることを忘れてしまうほど快適な室内空間が演出されます。
しかしひとたびアクセルを踏み込めば、別世界が訪れます。
特にモードをデフォルトの「コンフォート」から「スポーツ」、そして「スポーツ+」へと転じて行けば、それまでの静けさが嘘のようなエモーショナルさを味わえます。その変貌ぶりは、LC500 コンバーチブルよりも遙かに極端です。
アクセルの踏み始めからラグなく加速が盛り上がるのは、スーパーチャージャーとモーターのレスポンスでしょう。そして高回転になるほど、ターボの過給がパワーを乗せて行きます。
かつてのV型6気筒時代を経て直列6気筒へと回帰したエンジンは、惚れぼれするほどスムーズに回り、高回転でパワーを発揮します。そしてこの力強くも上質なアウトプットを4MATICのトラクションが精緻に受け止め、ライントレース性を高めてくれます。
センターの定まったハンドリングは、極めてメルセデス的です。LC500 コンバーチブルの、軽やかで切れ込むような操舵感。カーボンやアルミを多用した軽量かつ低重心な車体設計と較べ、そこにはどこまでも安定感を失わない、メルセデス流の頑固さが垣間見れます。
共に後輪操舵を備えていますが、より積極的にコーナリングの楽しさを追い求めるLC500 コンバーチブルに対し、CLE53 カブリオレは極めて安定志向。超高速域まで見据えるメルセデスと、現実的な領域から五感を刺激するレクサス。その違いが、ハンドリングには色濃く表れています。
どちらをよしとするかは、ブランドステイタスも含めて完全に好みの問題でしょう。
個人的には街中からハイスピード領域まで甘美なV8エンジンの質感と、これを持て余さずに楽しませてくれるシャシーを持った、レクサスLC500のアナログ感に惹かれます。
かたや珠玉の直列6気筒エンジンに最上級の過給システムと電動化技術を与え、プレミアムスポーツの未来を提案するメルセデスのデジタル的な姿勢には感服します。
そしてどちらもオープントップを開け放てば、そんな理屈さえ吹き飛んでしまうほどの魅力の持ち主です。カブリオレには、単なる速さや効率だけでは語れない、人生の豊かさがあるのです。
Writer: 山田弘樹(モータージャーナリスト)
自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。レース活動の経験を活かし、モータージャーナリストとして執筆中。並行してスーパーGTなどのレースレポートや、ドライビングスクールでの講師も行う。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
































