日産「斬新ブルーバード」まもなく初公開! コンパクトボディに5速MT&「旧車デザイン」採用! 「マーチ」ベースな学生製作の“カスタムカー”登場へ! TAS披露までの“苦労”が凄い!
日産グループで自動車整備専門学校の日産京都自動車大学校 京都校は、「東京オートサロン2026」でカスタムカー「マーチ エルーラ」を披露します。どのようなクルマなのでしょうか。
初の「女性向けカスタムカー」 旧車風でかなりの苦労も
日産グループで自動車整備専門学校の日産・自動車大学校は、カスタムカーの祭典「東京オートサロン(TAS)」で学生が授業の一環として製作したカスタムカーを披露しています。
次回、2026年1月に開催される「TAS2026」でも3台のカスタムカーが公開される予定です。
その1台である、京都校による「マーチ」(K13型)ベースのカスタムカー「MARCH Eloura(マーチ エルーラ)」を紹介します。
![初の女性ターゲットのカスタムカー「マーチ エルーラ」 [画像提供:日産・自動車大学校 京都校]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2026/12/20251223_nissan_kyoto_eloura_000.jpg?v=1766461746)
マーチは1982年に登場したコンパクトカーです。「フレンドリー」をキーワードにスタイリッシュなデザインを手頃な大きさや価格で実現し、大ヒットを記録。以後、日産のエントリーカーというポジションを担い、世代を重ねていきます。
K13型は4代目で2010年に登場しました。2002年に発売した先代のK12型で採用した、曲線的で愛らしいボディやつぶらな瞳のようなヘッドライトはそのままに、タイ生産への移行やコストカットによる低価格化を図っています。
2022年8月で生産を終了するまで、12年にわたる長いモデルライフを送りました。
このK13型マーチをベースに日産京都校はマーチ エルーラを製作。キャッチコピーは「街乗りスタイル、走りとデザインに特化」。「Be-1」「フィガロ」などの日産“パイクカー”のようなノスタルジーな雰囲気と、スポーティさを併せ持つ1台として誕生しました。
車名のエルーラ(Eloura)とは、英語で「時代」を意味する「Era」とイタリア語で輝きを意味する「Luce」を掛け合わせた造語で、「過去から未来へ時代を超えて輝く1台にする」という想いが込められています。
ターゲットは『スヌーピー』好きの20〜30代の女性。「スーパーGT」のレースを観戦し、女性ドライバーの活躍を見て、マニュアル免許を取得し、街乗り用のセカンドカーを希望しているといいます。
日産京都校カスタマイズ科としては、女性をターゲットとした車両を製作するのは初めてで、女性の意見を積極的に取り入れていることも特徴です。
ベース車両はK13型マーチのうち、過去の卒業生(2期生)が2019年のTASに向けて製作したカスタムカー「イタルマーチ」を採用。すでに5速MTが搭載され、ボディも大幅に加工されていますが、このクルマを用いて製作が進みました。
製作にあたり、イメージ元となったのは、1950年代後半から1960年代初頭にかけて販売された、昭和の日産を代表する「ブルーバード」(P310型)です。
マーチに共通する丸みのあるデザインや上品なイメージ、またラインナップには日本車としていち早く女性向けモデル「ファンシーデラックス(P312型)」を設定していたことなどから決定したといいます。
デザインはマーチらしい親しみやすいスタイリングに、ブルーバードのレトロで優しいフロント・リアを組み合わせており、新旧が融合したもの。ただし、サイズや形の異なるモデルのパーツを装着することは技術的には非常に難しいものとなります。
フロントは丸目2灯ライトや特徴的なグリルをはじめ、丸みのあるデザインをFRPで再現。リアはマーチがハッチバックであることからトランクがありませんが、フレームを延長してトランク形状とし、さらにブルーバードのトランクを加工して取り付けています。
ボディカラーはブルーを基調に、ホワイトのルーフを組み合わせるオリジナルツートンカラー「Sky Mirage」(スカイミラージュ)を採用。青空の中に雲が優雅に泳いでいるイメージという清々しいカラーです。
またインテリアも「スヌーピー」をイメージした白を採用。これに青空をイメージした青のステッチを組み合わせ、エクステリア同様に爽快な雰囲気を取り入れています。
![日産京都校の「マーチ エルーラ」 製作のようす[画像提供:日産・自動車大学校 京都校]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2026/11/20251126_nissan_kyoto_march_eloura_010.jpg?v=1764145945)
さて、製作は2025年6月から開始し、まずはイタルマーチのバラシ作業からはじめ、同年11月中旬までに、フロントやリアの成形は完了。
マーチからデザインが大幅に変更されるリアフェンダーは発泡ウレタン製ですが、ゼロからの作り直しと、パテの塗布や表面仕上げが難航したといいます。
増設したトランクも、単にトランクをポンと装着するのではなく、センタリングやマーチのボディに合うように微調整を繰り返すなど、難しい点が多かったのだとか。
さらに、クラシックな雰囲気の演出に一役買っているメッキパーツですが、下地となるアンダーコートの吹付けが上手く行かず、ムラが出たり、メッキの質感が再現されず、何度も失敗を経験。やり直していくうちに徐々に勘がつきはじめ、きれいに塗装できました。
TAS2026まで残り3週間程度となった12月下旬の最新状況では、フロントとリアのランプを装着。ランプ自体がマーチとは異なることから、配線の引き直しという地道な作業を行い、点灯したときには達成感があったといいます。
また、リアウインドウの取り付けによって、いよいよ完成形が見えてきたようです。
インテリアもダッシュボードやシートの装着が完了し、残すところは内外装の細かい調整や仕上げが残っているのみとなり、最終段階への意欲が高まっているようです。
完成まで秒読みとなったマーチ エルーラを見て、どのように感じたのでしょうか。担当学生は以下のようにコメントしています。
「完成するまでの道のりは、本当に簡単なものではありませんでした。何度も壁にぶつかって、『本当にこのクルマは完成するのだろうか』と不安になることも正直ありました。
それでも、仲間と一緒に一つひとつ課題を乗り越えていく中で、完成が近づくにつれて、気づけばこのクルマに強い愛着を感じるようになっていました。
特に忘れられないのは、エンジンをかけて実際に始動した瞬間です。音が鳴ったとき、これまでの苦労が一気に思い出されて、『本当にここまで来れたんだ』と胸が熱くなりました。
大変なことや辛いこともたくさんありましたが、それ以上に得られたものが大きく、心から『やってよかった』と思えました。
そして何より、このチームで、この仲間たちと一緒に完成させることができて、本当に良かったと感じています」
一筋縄ではいかない大胆なカスタムだからこそ、その苦労は計り知れないものがあります。学生たちの汗がにじんだマーチ エルーラの公開に、ますます期待が膨らみます。
※ ※ ※
TAS2026は、2026年1月9日から11日にかけ、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催予定です。
なお、日産・自動車大学校では京都校に加え、愛知校でもカスタムカーを製作中です。
Writer: くるまのニュース編集部
【クルマをもっと身近にするWEB情報メディア】
知的好奇心を満たすクルマの気になる様々な情報を紹介。新車情報・試乗記・交通マナーやトラブル・道路事情まで魅力的なカーライフを発信していきます。クルマについて「知らなかったことを知る喜び」をくるまのニュースを通じて体験してください。

































