クルマの“血液”! 日本初の「“超凄い”エンジンオイル」何が違う? 高性能なだけじゃない「RRBO」Moty’sの「M100/M110 LSPI」とは

2026年2月13日から15日までの3日間で、「大阪オートメッセ2026」が開催され、さまざまな車両が展示されました。今回はオートルビーズブースに展示されていた「Ark Van ヴォクシー」をご紹介します。

日本初の「“超凄い”エンジンオイル」

 クルマの“血液”と言ってもいいエンジンオイル。どれも同じように見えますが性能差はあります。より極限の環境で使われるモータースポ―ツではオイルの性能一つでタイムが変わるので、チューニングパーツの一つとして位置づけられているほどです。

 そんな厳しい世界で高い評価を受けているのが「Moty’s」です。このブランドを展開するトライボジャパンは1995年に創業以来、「良いものを生み出すためならコストは度外視」と言う技術至上主義に加えて、大手メーカーにはできない小回り開発を武器に製品を展開。それはレース、ラリー、そしてドリフトなど様々なモータースポーツシーンで「勝てるオイル」として証明されています。

 このように常に性能にこだわってきたMoty’sですが、カーボンニュートラル時代に「本当にそれだけでいいのか?」と言う想いがあったと言います。

 1つは原油という限りある資源への危機感です。今後電動化がより進む中、バージンオイル(原油から精製された新品)の供給構造が変化することは避けられません(バージンオイルは原油から燃料を製造するなかで連産品として製造される)

 もう1つは現在のオイル業界が抱える大きな課題である「使用後の廃油」でした。エンジンオイルは定期的に交換が必要なのは言わずもがなですが、実は回収された廃油の多くは補助燃料として燃やされています。サーマルリサイクルの観点ではマルですが、燃焼時にCO2を排出していると言う事実……。

日本初の「“超凄い”エンジンオイル」とは?
日本初の「“超凄い”エンジンオイル」とは?

 そして、もう1つはモータースポーツに鍛えられてきたブランドであるからこそ、「今後もモータースポーツの存続させるためには、環境対応と真剣に向き合う必要がある」と言う危機感もあったのでしょう。

「環境負荷を最小限に抑えつつ、これまで通りの速さと性能を維持した高性能なオイルを提供できないか?」。

 そんなMoty’sの想いをカタチにしたのが、今回紹介する日本で初めてRRBO(再生精製油)を採用したエンジンオイル「M100」、「M110 LSPI」になります。ちなみにこの2つの製品はMoty’sの主力オイルで、「それを刷新させた」と言う所に力の入り様が解るでしょう。

 ちなみにRRBOとはRe-Refined Base Oilを意味し、使用済みオイルを回収・精製し、再び製品に戻す高度なマテリアルリサイクル技術によるベースオイルを指します。要するにこれまでの「使って捨てる(燃やす)」から「使って、戻して、また使う」と言うサーキュラーエコノミー(循環型経済)の構築において潤滑油業界の切り札とも言われています。

 それに加えて、原油からベースオイルを精製するプロセスに比べてRRBOの精製するプロセスはエネルギー消費が少なく、約6割のCO2削減に繋がると言う試算も出ています。

 これだけ聞くと環境負荷が少ないのは理解できるのですが、肝心な性能はどうなのか。
使用済みのオイルは、過酷な環境下で壊れやすい成分がすでに削ぎ落とされており、“適切”に再精製すると安定した分子だけが残るのでバージンオイルと同等以上の安定性を持つと言われています。

 ただ、精製が不十分だと粘度のバラつきや低温時の流動性悪化など、品質の個体差が出やすくなる欠点もあります。要するにRRBOにも性能差があります。

 そこでMoty’sがタッグを組んだのはマレーシアのペンタスフローラ社です。ここで再精製されるRRBOはバージンオイルと同じ蒸留や水素仕上げなど、高度な工程で不純物や酸化物を完全に除去する技術などにより、API分類でグループ2+やグループ3に相当する極めて高い純度を安定して生産を可能にしています。この技術的な裏付けが、採用の決定打になったそうです。

 このペンタスフローラ社のRRBOの特性を踏まえた上で添加剤配合を最適化、従来品と同等の性能と耐久性を確保できたそうです。ちなみに従来品よりも高い性能にブレンドすることも可能のようですが、Moty’sの回答は「まずは普及帯の製品からで、他の製品にも反映していきます」との事でした。

 そんなRRBOは欧米では普及がかなり進んでいるものの、日本国内ではその存在はほとんど知られていません(日本では使用済み潤滑油の回収は進むがRRBOとしての使用率は0%)。そのためMoty’sは「将来的には国内で回収した廃油(日本は定められた距離や期間でオイル交換する人が多いので、諸外国に比べてクオリティが高い)からRRBOの製造まで行なう事を目指したい」と語っています。

 このオイルを一早くテストしたレーシングドライバーの佐々木雅弘選手は、「いい意味で従来のオイルとまったく変わらない」、「循環型という環境に配慮した思想をもちながら、性能には一切妥協していない。未来に対しての提案となるエンジンオイル。モータースポーツで使いながら更に進化させていきたい」とその性能を高く評価しています。

 ただ、ユーザーが気になるのは価格でしょう。製造コストだけで言うとバージンオイルよりも高いそうですが、Moty’sは「普及を優先、製品価格はメーカー側で吸収する形で考えています」とキッパリ。要するにユーザーに負担をかけることなく「高性能」だけでなく「カーボンニュートラルへの貢献」という付加価値を提供したエンジンオイルと言っていいでしょう。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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