“国産VS外車”の最新「“4WD”コンパクトスポーツカー」どっちを選ぶべき? 伝統のスバル「水平対向」×アウディ「直5」を比較検証! 見えてきたそれぞれの“キャラ”とは
日本車と輸入車が“世界最速”を競い合ってきたコンパクトスポーツの歴史。その最前線に立つのが、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースで最速記録を打ち立てたアウディ「RS 3」と、モータースポーツで実績を重ねてきたスバル「WRX S4」です。両モデルを実際に走らせ、そのキャラクターと走りの違いを確かめました。
RS 3の“非日常”とWRXに期待が高まる「6速MT」
そんな気持ちでRS 3に乗り換え、エンジンをスタートさせます。すると、ヴァォンとひと吠えして身構えさせられます。

アイドリング中からエンジン音はやや大きめで、アイドリングストップが作動した状態では、低周波サウンドが車内の空気を震わせるように感じることもあります。それでも不快さはなく、むしろ走りへの気分が高まっていくほどです。
ただし、上下がフラットなステアリング形状に、個人的には納得できません。メーター上部を隠してしまううえ、送りハンドルをする場合にも操作の妨げになるでしょう。
アクセルを踏み込むと、いきなり刺激的な加速が始まります。排気量がもたらす爆発エネルギーの大きさが、低回転域からターボをガンガン回しているのでしょう。さらに、ステアリング左側スポーク下にある“RSパフォーマンス”ボタンを押すと、パワートレインやシャシのキャラクターがダイナミックに変化します。
エンジン音は「PRESENT(プレゼント)」に。まさにドライバーへの贈り物という意味でしょう。直列5気筒という希少なシリンダー配置は、低周波サウンドを強調しながらも、重々しさを感じさせず、調律の乱れもありません。
標準装備される完全可変エキゾーストフラップの効果も聞き逃せないポイントです。走りは刺激的を通り越して過激で、血の気が引くような加速が、7000rpmに達するまで低いギアでは息つく間もなく続きます。
その間、ドライバーは緊張感に縛られっぱなしです。24時間レースを戦うまでもなく、遠からず日常に戻りたくなるでしょう。そんな望みを、STIとRS 3はいずれもいつでも叶えてくれます。
STIはドライブモードをノーマルにすれば、ファミリーカーとして使える静粛性を確保。ZF製の電子制御ダンパーがもたらす快適な乗り心地も魅力です。それでも、ステアリングの滑らかな切れ味と、操作に対する正確な応答性は失われていません。

一方のRS 3は、オプションで用意される電子制御ダンパーの可変領域がSTI以上に広く感じられます。ドライブセレクトをコンフォートにすると、うねりのある路面では縦揺れを意識する場面もありますが、バランスを選べばフラットな乗り味がしっかりと確保されます。
さて、いかがでしょうか。スバルは、何かを変えようとしているのかもしれません。開発メンバーに取材すると、エンジン音についても手を加えようとしている気配があります。
また、ニュルブルクリンク24時間レースに参戦したWRXは、2ペダルで扱えるシーケンシャル式の6速MTを装備していました。シーケンシャルでなくても、6速MTの導入を期待しているスバルファンは多いのではないでしょうか。
Writer: 萩原秀輝
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。在学中からフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、同時期にツーリングカー・レースにも参戦。豊富なクルマの知識とドライビング理論を活かし、自動車メーカーなどが主催する安全運転教育の講師を数多く務めた経験を持つ。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。






















































