ホンダ「斬新“ぷよぷよ”マシン」が凄すぎた! グミみたいな「ジェルボディ」ד生き物風内装”採用!? 世界を震撼させた「PUYO」 2007年披露のコンセプトカーを振り返る
ホンダが2007年の「東京モーターショー」で、かつてない斬新モデル「PUYO」を世界初公開しました。登場から20年近く経過してもなお、ほかのモデルにはない特徴を持っていたPUYOを紹介します。
車名の通り「プヨっとしたボディ」を採用
国内外で開催されるモーターショーでは、新時代を予感させるコンセプトカーや発売予定の新型車が披露されるなかで、市販は難しいかもしれないが、斬新な発想を形どったものも多数公開されます。
そんな過去のショーのなかでも、2007年に開催された第40回「東京モーターショー」で、ホンダは突拍子もないモデルを披露していました。それが「PUYO(プヨ)」です。
2007年を振り返ると、アメリカの低所得者向け住宅ローン「サブプライム」の破綻をきっかけとする世界的な大不況が巻き起こったことに加え、世界金融危機が発生。原油価格の高騰もあり、世界経済は大混乱となりました。
日本では、新潟県中越沖を震源とする大地震が発生するなど、世界的にもいいニュースは少なく、クルマ業界にも暗雲が立ち込めていました。
そんななか、第40回東京モーターショー2007が2007年10月26日から17日間、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催。
ショーテーマ「世界に、未来に、ニュースです。」のもと、10年ぶりに形態変更し、乗用車・商用車・二輪車だけでなく、車体や部品などの関連製品を含む展示を行ったほか、参加・体験型のイベントを充実させるなど、現在の「ジャパンモビリティショー」にも続く流れをつくり出し、過去最高の来場者数を記録しました。
ホンダでは、世界初公開のコンセプトカー2台を含む18台を出展。ワールドプレミアとなった「CR-Zコンセプト」や、市販車では「S2000 タイプS」「インスパイア」なども披露されました。
そして、コンセプトカーのうちの1台が「PUYO(プヨ)」でした。

プヨは燃料電池(FCEV)コンパクトカー型コンセプトカーで、ホンダは当時「CLEAN、SAFE、FUNの要素を融合し、燃料電池技術を活用した超高効率なスモール骨格と、人と環境に優しく親近感のあるデザインにより、使う人だけでなく、周りの人も楽しくさせる新しいモビリティの提案」モデルと説明しています。
車名は、ボディを触ったときのプヨプヨした感覚に由来しており、実際にプヨはボディにジェル状の素材を採用していました。
一見するとふざけたようにも聞こえますが、対歩行者との衝突などといった、実質的な安全性の向上をはかる「ジェルボディ」として、真面目に衝突安全を考えたうえでのアイデアでした。
さらに、透過するジェルを用いたことにより、内部に照明を埋め込んでボディを光らせたり、カラーを変えることも可能となっていました。
エクステリアは、角を持たない箱型フォルム「SEAMLESS SOFT BOX」をコンセプトに、上部はドーム型のキャノピーを装着。大面積がガラスエリアとなっており、外の歩行者と中の乗員が互いにコミュニケーションを取ることも可能です。
ジェルで包まれたボディ下部は、当時は斬新だった真一文字のシグネチャーランプ、ジェル内部にヘッドライトを埋め込むなど、有機的で親近感のあるデザインが特徴です。「ペットのように愛らしく」と説明され、人によっては愛着を持てるデザインかもしれません。
ドアは上方に向かって開くシザーズドアで、楕円を描くテールランプや、ルーフ後部にはしっぽをイメージさせるアンテナを装備。どこから見てもコロコロとしたスタイルで、周囲の人を楽しくさせるのは間違いありません。
インテリアは人に優しい透明感あふれる爽快空間「SILK FEEL」をコンセプトに開発。
エクステリア同様に、角がおとして柔らかい雰囲気としたシートやドアトリムを備えたほか、ストッキングのような伸縮する素材をインパネに用いたことで、電源を投入すると素材ごと起立するモニターを採用。メータ表示は光る液体を用いるなど、生物的な表現が多数取り入れられています。
さて、そんなプヨでしたが、東京モーターショー2007での発表当時、未来における人とクルマの新しい関係性を予感させるとして、子どもを中心に注目の存在となりました。
しかし、やはり市販化はかなり難しかったようで、現在に至るまで直接的な後継モデル・量産モデルは登場しておらず、ジェル状素材を用いた市販車もデビューしていません。
一方で、ホンダは翌年の2008年に「FCXクラリティ」を発売。2016年には「クラリティ Fuel Cell」を、2024年にはミドルサイズSUV「CR-V e:FCEV」を発売するなど、燃料電池を用いた技術は今もなお、進化を続けています。
プヨに搭載された燃料電池技術は、内燃機関に変わる次世代のパワートレインとして活かされているのかもしれません。
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このプヨのように市販化が叶わなかったものの、後に登場する市販車に一部の機能やデザインが活かされているケースも数多く存在するほか、最新技術の一部は現代と同じ発想でブラッシュアップされ続けています。
果たして2026年には、国内外のモーターショーでどのようなクルマが登場するのでしょうか。
Writer: 伊勢崎剛志
自動車販売から自動車雑誌編集部を経て、ライターとして独立。趣味も多彩だが、タイヤが付いているものはキホン何でも好きで、乗りもので出かけることも大好物。道路や旅にも精通し、執筆活動はそういった分野をメインに活動。
























