三菱ふそうが「水素で動く」2種類の大型トラックコンセプトモデルを初公開! 同乗走行で見えた未来の手応え

三菱ふそうトラック・バスは、Japan Mobility Show 2025(ジャパンモビリティショー)で2台の水素駆動トラックのコンセプトモデル「H2FC」と「H2IC」を世界初公開しました。本記事ではその2台の詳細と、「H2IC」に同乗試乗した様子をお届けします。

BEVは難しい大型トラック……では水素ならどう?

 三菱ふそうトラック・バス(以下、三菱ふそう)は2025年10月29日、「JAPAN MOBILITY SHOW 2025(ジャパンモビリティショー)」のプレスブリーフィングで、2台の水素駆動トラックのコンセプトモデル「H2FC」と「H2IC」を世界初公開しました。本記事ではその2台の詳細と、「H2IC」に同乗試乗した様子をお届けします。

三菱ふそうの水素駆動トラックのコンセプトモデル「H2IC」
三菱ふそうの水素駆動トラックのコンセプトモデル「H2IC」

 カーボンニュートラルへの取り組みについて三菱ふそうは、2017年の小型BEVトラック「eCanter」の発売を皮切りに、バッテリー交換ができるモデルなどを開発してきました。市街地の配送が中心で走行距離が少なく、積み荷の負荷が少ない小型トラックとEVのマッチング性は高く、今後も普及が見込まれます。

 しかし大型トラックの分野では、電動化や代替燃料の研究が進みつつも、本格的な実用化はこれから、という状況です。特にBEV化については、積載量が多く一度の走行距離が長い傾向にある大型トラックには不利。例えば1日の走行距離を800km(うち運転時間4時間+休憩30分)で試算した場合、BEVでは5tのバッテリーを搭載、しかも50kWの充電器では充電に9時間かかるといいます。この数値は、非現実的と言わざるを得ません。

 そこで三菱ふそうは、大型トラックのカーボンニュートラル技術には水素(H2)が有効と判断。さらに大型トラックの使用方法に応じて、水素エンジンと水素燃料電池2種類をエネルギー効率で使い分ける戦略を採用しました。

 まず水素エンジン搭載車は、ディーゼルエンジンや駆動系を含め、すでに使われている車両と共通の技術やコンポーネントをそのまま利用できるため、スムーズな水素車両への移行を可能とします。高出力が必要で、比較的走行距離が短く負荷がかかる建設車両などに適しており、70MPaという高圧で常温保存される圧縮水素ガス(CHG)を使用します。

 この水素エンジンを積むコンセプトモデルが、「H2IC」です。H2ICは、合計58kgの圧縮水素ガスを蓄えられるタンクを、キャビン後部とフレーム左右に搭載。航続距離は700kmとされています。欠点は積み荷の積載スペースが減ることですが、前述の通り既存のトラックの構造をほぼ踏襲しているメリットがあり、低い導入コストが期待されます。

長距離輸送・低負荷での運用に適した「H2FC」

 もうひとつのコンセプトモデル「H2FC」は、燃料電池により水素から変換された電気をモーターの駆動に用いる燃料電池トラックで、三菱ふそうでは長距離輸送・低負荷で運用される車両に適している、と説明しています。

燃料電池により水素から変換された電気をモーターの駆動に用いる「H2FC」
燃料電池により水素から変換された電気をモーターの駆動に用いる「H2FC」

 燃料電池システムは従来のエンジン部に設置し、合計80kgの液体水素(LH2)を充填(じゅうてん)可能な真空断熱タンクは、フレーム左右に設置されます。圧縮水素より密度が高い液体水素により、航続距離は1200kmを達成。積載量も従来の大型トラックと同等です。

 さらにH2FCでは、国内初のサブクール液体水素(sLH2)の充填を可能としました。sLH2の充填技術は、三菱ふそうの親会社であるダイムラートラックと産業ガス・水素インフラ技術を得意とするリンデ・エンジニアリングと共同開発されたものです。sLH2充填技術を用いると、液体水素取り扱い時の課題である「ボイルオフガス」の排出が不要なため、水素ステーションの設備を大幅に簡素化してコストを削減できます。そしてこの技術は、国内で唯一液体水素を供給する岩谷産業と共同で研究が進められており、H2FCのサイドには「FUELED BY Iwatani」の文字が入れられています。

 なおダイムラートラックでは2022年にドイツで液体水素トラックの車両実験に成功。2024年からはsLH2充填ステーションの稼働や、運送会社との実証実験も始まっています。

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