三菱ふそうが「水素で動く」2種類の大型トラックコンセプトモデルを初公開! 同乗走行で見えた未来の手応え
ディーゼル車とは違うサウンド! 高い静粛性に未来の物流を見た
今回作られた2台のコンセプトモデルはモックアップではなく、実走行が可能です。そこで三菱ふそうでは、事前にH2FCとH2ICのメディア向けお披露目と、水素エンジンを積んだH2ICの同乗試乗会を同社のテストコースで実施しました。

迫力ある濃色のボディカラーに鮮やかなストライプが配された2台は、三菱ふそうのスーパーグレートの3軸車をベースに開発されていますが、2台とも細部が作り分けられています。
新しい技術を搭載するH2FCは、奥行き感のあるフロントグリルに変更されており、リアタイヤもカバーによって完全に隠されています。車輪の間に置かれた水素タンクは電飾が施され、さらにカバーから見えるシースルー式に。リアセクションも大きく変更されており、未来感漂うスタイルとなっています。
サイドミラーはカメラの映像を車内のディスプレーに投影する方式ですが、H2FCではカメラメーカーのニコンと共同で開発した「3Dカメラモニタリングシステム」を搭載。3Dカメラモニタリングシステムと、現実の鏡のような奥行き感を再現した3Dミラーディスプレーを特徴としています。
一方、現実的なアプローチのH2ICでは、リアタイヤが露出しているなど既存車両とあまり変わらない外観を持っています。こちらも「3Dカメラモニタリングシステム」を搭載していますが、すでに市場で採用されている技術を用いています。
なお両車ともに車内はシート・アームレスト・ステアリングホイールなどにリサイクルレザーといったサステナブル素材を使用しています。
ディーゼルエンジンと運転フィーリングに大きな違いはない「H2IC」
そしていよいよH2IC同乗試乗の時間がやってきました。コンセプトモデルかつ同社の試験車両に、助手席への同乗ながらも乗ることができるのは、たいへん貴重な機会です。しかもショーに展示する実車そのものなのですから、それを事前に同乗試乗で走らせるということに、三菱ふそうの水素駆動大型トラックにかける意気込みや本気を感じました。

前述のとおりH2ICは、見た目的には市販のスーパーグレートと大きな差異はなく、軽油を燃料とするディーゼルエンジンも基本的にはそのまま。H2ICには、15.6リッターのダイムラートラック製ユニットを積んでいます。
ところがH2ICは、ディーゼルエンジンとは少し異なる音質で目の前にやってきました。軽油特有のカラカラ音が薄く、どことなくガソリン車のような音です。
助手席によじのぼりシートベルトを装着。いざ、テストコースへとH2ICは走り出します。車内で聞いてもやはりエンジン音は軽やか。ベースのスーパーグレートも静粛性が極めて高いのですが、エンジンのフィーリングの違いにより、それがさらに強調されている感じがしました。ドライバーに聞いてみたところ、ディーゼルエンジンと運転フィーリングに大きな違いはないとのことです。
滑らかな加速とスムーズなシフトアップ・ダウンにより快適な走行を体感できました。
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大型トラックのゼロエミッション化への道を主導すべく、水素を選択した三菱ふそう。水素ステーションの少なさや設置コスト、水素自体が高いことなど、水素を用いる車両の本格導入にはまだいくつものハードルがありますが、岩谷とのsLH2充填技術開発などによる低コスト化が進めば、既存コンポーネントを流用できる水素エンジン車の普及は進むのではないでしょうか。
今回の試乗は、未来の物流への手応えを強く感じさせてくれました。カーボンニュートラル化待ったなし!という現代。三菱ふそうのチャレンジに注目したいと思います。
なお「H2FC」および「H2IC」は、東京ビッグサイト(東京都江東区)で10月30日~11月9日(一般公開は10月31日から)に開催される「JAPAN MOBILITY SHOW 2025(ジャパンモビリティショー・JMS2025)」にて実車を展示。三菱ふそうブースは、東京ビッグサイト東展示棟1階(東6ホール)、ブース番号EC02です。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。


































































