日産「斬新コンパクトカー」に注目! 全長3.6m“ちょうどいいボディ”&丸目の「レトロデザイン」を採用! 丸だらけの「お洒落内装」も魅力!“5速MT”も選べた「Be-1」ってどんなクルマ?
1980年代後半、日産が1万台限定で発売したパイクカー「Be-1(ビー・ワン)」。レトロで親しみやすいデザインと独自の世界観で大きな注目を集め、予約開始からわずか2カ月で完売、抽選販売となるほどの人気を誇りました。一体どのようなクルマなのでしょうか。
専門店がオープンするほどの大人気モデル
1990年代に流行したのが、レトロなデザインをまとった「パイクカー」です。
スバルの「サンバーディアスクラシック」や、ダイハツの「ミラジーノ」などが代表的な存在として知られています。
しかし、これらが登場する以前の1980年代後半に、日産が「Be-1(ビー・ワン)」というパイクカーを発売していたことをご存じでしょうか。

Be-1は、日産が1987年に発売した2ドアのノッチバックセダンです。
1985年の東京モーターショーに試作モデルが出展され、会場での反響が大きかったことから市販化に至りました。
このクルマは、日産の社内企画から生まれました。
1980年代前半、初代「マーチ」(K10型)をベースに新しいモデルをつくるプロジェクトが始動。
複数のチームがアイデアを競い合い、その中で「ノスタルジック・モダン」をテーマとした「B-1案モデル」が高い評価を得ました。
社内アンケートでも圧倒的な支持を集めた結果、試作車はBe-1という名前で東京モーターショーに出展されることになります。
名称の由来について日産は、B-1案と呼ばれていたデザイン案を、「Be動詞」にかけてBe-1と命名したと説明しています。このネーミングには「あなたの1台になります」というメッセージも込められているそうです。
ボディサイズは全長3635mm×全幅1580mm×全高1395mm、ホイールベースは2300mmです。
初代マーチは、ジョルジェット・ジウジアーロ氏が基本デザインを手がけた角張ったフォルムが特徴で、長方形のヘッドライトやグリルが力強い印象を与えていました。
一方、Be-1は「ここちよさ優先のナチュラルカー」をテーマに掲げ、やすらぎや安心感を重視。
丸みを帯びた柔らかいフォルムに丸目のヘッドライト、三本線のユニークなテールライトを組み合わせ、どこか懐かしさを感じさせるレトロな雰囲気を演出しました。
インテリアもその世界観に合わせ、丸型ヘッドレストや丸型エアコン吹き出し口など、随所に「丸」を意識したデザインを採用していたのが特徴です。
パワーユニットは、最高出力52ps・最大トルク74Nmの1リッター直列4気筒エンジンを搭載。
トランスミッションは5速MTと3速ATが用意されており、前輪を駆動します。
そんなBe-1は、東京モーターショーでの好評を受け、1万台限定で市販化が決定。
1987年1月に予約が始まりましたが、販売予定台数を大幅に上回る注文が集まり、最終的には抽選販売となりました。
同年3月2日には電動キャンバストップ仕様も追加されましたが、いずれもわずか10日後の3月12日には予約受付を終了。
発売からわずか2ヵ月で完売となり、その人気ぶりを示しました。
Be-1のヒットを受け、日産はスポーツメーカーや文房具メーカーとコラボレーションし、専用ブランドグッズを展開しました。
さらに、南青山には専門店「Be-1ショップ」をオープン。
クルマだけでなくライフスタイル全体に広がるBe-1ブームが巻き起こりました。
発売から約40年が経過した現在でも、Be-1の人気は衰えていません。
中古市場では100万円以上の価格がつけられることも多く、いまなお根強い支持を集める一台となっています。
Writer: 大西トタン@dcp
(株)デジタル・コンテンツ・パブリッシング所属の編集者・ライター。幼少期に父親と一緒に灯油でエンジンのプラグを磨いたのをきっかけに車好きになる。学生時代はレーサーを目指しカートに挑むも挫折。現在は磨いた腕と知識を武器に自動車関係の記事をメインに執筆。趣味は週末に愛車フリードでのグルメ自販機巡り。


























