氷上ブレーキ性能14%アップ!ヨコハマの最新スタッドレスタイヤ「アイスガード8」を極寒の北海道で試乗…スノー/アイス性能はどうだった?

「氷上性能の限界を追求した」というヨコハマタイヤの最新スタッドレスタイヤ「アイスガード8(iceGUARD 8)」。従来品とどう違うのか、氷上ブレーキ、旋回、圧雪の各条件のもと、国産車から外車まで試してみました。

新技術「冬テック」で氷上性能のブレイクスルーを実現

 ヨコハマタイヤから待望の最新スタッドレスタイヤ「アイスガード8(iceGUARD 8)」が2025年9月1日、登場しました。その最大の進化はズバリ「氷上性能」。手掛けた横浜ゴムは「氷上性能の限界を追求した」と説明します。

 では試乗リポートとともに、中身の濃い進化の内容をお伝えしましょう。

最新スタッドレスタイヤ「アイスガード8(iceGUARD 8)」を履いたトヨタ「カローラ」の4WDモデル
最新スタッドレスタイヤ「アイスガード8(iceGUARD 8)」を履いたトヨタ「カローラ」の4WDモデル

 まずは開発の背景から。「日本の冬の路面は世界的に見ても特殊」と言われますが、その理由はガチガチに凍るアイスバーンや、それがタイヤに磨かれることによって極端に滑りやすい路面となったミラーバーンの存在です。

 特に昨今はドカ雪が増えるとともに昼の外気温が高めであり、その結果、昼間に解けた雪が夜になって氷になる機会が増えています。つまり、路面がアイスバーンになる確率が高まっているのです。

 そんな路面環境の変化もあり、スタッドレスタイヤについて、「氷上性能が重要」という市場からの要求が拡大。そうしたニーズを受けて、ヨコハマタイヤの最新スタッドレスタイヤは氷上性能を高めてきたというわけです。

 ただし、そこで障害となるのが雪上性能との両立です。氷上性能と雪上性能は一部相反する部分があり、「どちらも引き上げる」にはとても高いハードルがあるのです。

 いくら氷上性能を高めたからといって、雪上性能が従来モデルより劣ってしまっては商品として難しい面があります。トータルでの走行安定性が落ちてしまうのは、なんとしても避けなければなりません。

 そこで横浜ゴムは「氷上性能を高めつつ、雪やドライといったほかの性能は絶対に下げない」という強い決意でアイスガード8を開発。

 氷との接触を“密度”と“面積”の両面から最大化するという考え方「冬テック」を採用し、これまでの吸水バルーン構造に代えて新開発のサステナブル素材「水膜バスター」を含む新コンパウンド「冬ピタ吸水ゴム」を搭載しています。

 小型・多層構造による吸水効率の向上と、横浜ゴムのAI技術「HAICoLab(ハイコラボ)」による接地面積拡大を両立し、氷上性能のブレイクスルーを実現するとともに、持続可能な未来にも配慮されています。

4年経過してもタイヤの性能が落ちにくいって!?

 なお、氷上性能と雪上性能が相反する理由は、タイヤと地面の接地面積にあります。接地面積は、氷上だと面積が大きい方が高い密着度を得られグリップを高められる(大きな溝が少ない方がよい)一方、逆に雪上では雪を溝で踏み固めてひっかく必要があるので、溝は多い方が有利。この全く逆の事象を、どうバランスをとって克服するかがタイヤ作りの腕の見せどころというわけです。

 そこで横浜ゴムはアイスガード8を開発するにあたり、まずは氷上グリップに優れるコンパウンド(タイヤのゴムの質)を用意したうえで、最もバランスのよい溝の量(氷上性能が低下しないギリギリの溝の多さ)を徹底追求。溝エッジ量は従来品(アイスガード7)と比べ約4%増加させて雪上性能を高めつつ、氷上性能も、しっかりレベルアップを果たしているというわけです。

「アイスガード8」。溝エッジ量は「アイスガード7」と比べ約4%増加している
「アイスガード8」。溝エッジ量は「アイスガード7」と比べ約4%増加している

 コンパウンドは極低温でも柔らかい特性を実現。ただしそのままだとデメリットとしてシャーベット路面やウエット、そしてドライでの性能が低下してしまうため、配合するシリカの量を増やし、それらの路面でもしっかりとグリップを保つように工夫しました。

 一方でシリカの増量でコンパウンドの柔らかさを長期間維持するのは難しいため、新開発素材の「オレンジオイルS+」をブレンドし、“効き”の長持ちを実現。ゴムの劣化を抑制し、4年ほどたった後でも性能低下が極めて少ないスタッドレスタイヤに仕上げています。

 こうしてアイスガード8は従来比で氷上ブレーキ性能を14%、氷上旋回性能を13%向上させ、雪上性能と長持ちする氷上性能の両方を獲得しました。ドライ性能、ウエット性能、耐摩耗性、静粛性、転がり抵抗などは従来品と同等をキープしており、「ひとつとして低下している性能はない」というのも覚えておきたいポイントです。

 とはいえ、本当にそんなにうまい話があるのでしょうか。筆者(工藤貴宏)は、発売に先立つ2025年2月、北海道旭川市にある横浜ゴムのタイヤテストコースで、従来品(アイスガード7)と新商品のアイスガード8を同じ環境のもと、カローラの4WDモデルで比べてみました。試したのは氷上ブレーキ、氷上旋回、そして圧雪スラロームです。

【画像】えっ…! これが「限界を追求」したという最新スタッドレスタイヤです(65枚)

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