東京～名古屋を結ぶ大動脈となる「新東名高速」ですが、新秦野ICから新御殿場ICの区間が未開通です。

　この区間が開通すれば神奈川県の海老名南JCTから愛知県の豊田東JCTまで約253kmがつながり、首都圏から東海、関西やその先九州まで東西の移動に大きな変化をもたらします。

　工事現場の現状はどうなっているのでしょうか。

　首都圏と中部圏をダイレクトに結ぶ新東名高速は、東名高速とほぼ並走しながら、中部圏と関西圏へのアクセスを飛躍的に向上させる基幹インフラとして整備が進められてきました。

　新東名の整備は段階的に進められ、まず2012年には御殿場JCT〜浜松いなさJCTの広範囲が一気に開通。その後も2016年には愛知県の豊田東JCTまで延び、神奈川県内も2018年から2022年にかけて、海老名南JCT〜新秦野ICまでの区間が順次完成してきました。

　しかし、いまだに未開通のまま残されているのが、神奈川県の新秦野ICから静岡県の新御殿場ICまでの約25km。まさに“最後のピース”ともいえるこの区間こそが、新東名の全線開通に向けた最大の関門となっています。

　この未開通区間が整備されていない現状では、首都圏から関西方面へ向かう際、結局は御殿場JCTまで東名高速を利用するしかありません。

　特に大井松田IC付近は山間部で急カーブや勾配が連続しているため、事故渋滞が頻発。慢性的な渋滞の原因になっています。

　連休や年末年始ともなれば、数km単位の渋滞が発生し、ドライバーにとって頭の痛い区間となっています。

　新東名が全通すれば、こうした東名ルートに依存する必要がなくなり、交通が新東名と東名に分散されることで、交通の流れが大幅にスムーズになることが期待されています。

　現在、国土交通省はこの最後の未開通区間について、「2027年度内の開通」を目標として掲げています。つまり、最遅でも2028年3月末までの開通を目指しています。

　ただ、この区間についてはこれまでにも複数回の延期が繰り返されており、当初は2020年度の開通予定が掲げられていたにもかかわらず、2023年度から開通時期未定、2027年度へと、実に7年もスケジュールが後ろ倒しになっている状況です。

　工期が長引いている最大の理由は、神奈川県松田町と静岡県小山町を結ぶ高松トンネルの難工事にあります。

　掘削作業の途中で想定外の脆弱な地盤や大量の湧水に見舞われ、安全面の配慮から慎重な工事が求められています。

　2025年5月末時点での進捗は「上り線（全長2851m）は約1980m、下り線は（全長2864m）1890mの掘削が完了」しているとのことです。

　2024年11月時点では「上り線は約1770m、下り線は1600m」だったので、約半年で上り線は約210m、下り線は約290m工事が進んだことになります。

　高松トンネルは全体の約7割程度の掘削が完了した段階であり、今後さらに予期せぬ事態が発生しなければ、2027年度内の開通も現実的かもしれません。

　一方、トンネル以外の区間では目に見える進捗が続いています。たとえば、神奈川県の中津川橋では橋桁工事が着々と進行中。

　河内川橋ではアーチ構造の橋が両岸から中央へと接続され、「やじろべえ工法」による壮大なスケールの架橋工事が展開されています。

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　着実に工事の進捗が進んでいる新東名で、ようやく開通の兆しが見えてきました。特に、高松トンネルの掘削状況が今後の最大の焦点となります。

　全国のドライバーが待ち望む“新東名全線開通”の日まで、引き続きその動向に注目です。