ダンロップ初のラギッドテレーンタイヤ「GRANDTREK R/T01」を試乗インプレッション!オンロード・オフロード両対応の実力は?
2025年7月31日にダンロップ初のラギッドテレーンタイヤ「GRANDTREK R/T01」の試走会が愛知県で開催されました。どのようなタイヤなのでしょうか。
ラギッドテレーンタイヤとは?街乗りとアウトドアを両立する新しい選択肢
2025年7月1日に発表されたダンロップ初のラギッドテレーンタイヤ「GRANDTREK R/T01」。
同年8月からの発売に先駆けて、7月31日に「猿投アドベンチャーフィールド」(愛知県)で試走会が開催されました。
一般道からオフロードまでを体感した印象はどうだったのでしょうか。くるまのニュース編集部が現地で試走してみました。

まず、「ラギッドテレーンタイヤ(R/T)」という言葉自体が馴染みのない人も多いかもしれません。
これは、オンロードとオフロードの両方に対応する性能を兼ね備えたハイブリッドタイヤのこと。
オールテレーン(A/T)タイヤとマッドテレーン(M/T)タイヤの中間に位置づけられる新しいカテゴリーです。
日常の通勤や買い物などの舗装路での走行はもちろん、週末のアウトドアやレジャーでの未舗装路でも快適に走れることを目指したタイヤ。
最近ではSUVやピックアップトラックの需要が世界的に高まるなかで、ユーザーの多様なニーズに応えるべく開発されたのが、今回のGRANDTREK R/T01です。

GRANDTREKブランドについて、GRANDTREK R/T01の開発に携わったタイヤ事業本部 技術本部の千葉祐弥氏は次のように話しています。
「このGRANDTREKですが、世界中の過酷な環境下でも走り抜く、長年の技術開発と技術へのこだわりが積み出した信頼性の結晶というブランドになっております。
ダンロップの4×4タイヤの歴史は、純正装着を中心に世界中の道を走ってきた歴史があります。
SUVと共に鍛えられ、世界各地の市場に適合する信頼性を重視して開発を行ってきました。その積み重ねがGRANDTREKということになっております」
そんななか、新たに登場したGRANDTREK R/T01の特徴のひとつが、両面で異なるデザインを採用している点です。
サイドウォール(タイヤの側面)には2種類のデザインが施されており、装着時にどちらの面を外側にするかで見た目の印象がガラリと変わります。

一方は広大な大地をモチーフにしたダイナミックなデザインで、幅広いブロックとホワイトレターが特徴。
もう一方は鋭利な崖をモチーフにしたアグレッシブなデザインで、厚みのあるブロックとブラックレターが採用されています。
試走会では両方のデザインを装着した車両を見比べることができましたが、同じタイヤとは思えないほど印象が異なります。
ホワイトレター側は比較的カジュアルでスタイリッシュな印象、ブラックレター側は力強く武骨な印象という感じでしょうか。
ホワイトレター仕様は個人的にとても映えていて、「これは若いオーナーにも人気が出そうだな」と感じました。
一方、ブラックレター仕様は迫力満点で、本格オフローダーの雰囲気にぴったりです。
開発を担当した千葉氏は「特徴としては両面デザインで、1本のタイヤが片側から見るとホワイトレター、もう片面はブラックレターの両面デザインになっています。どちらをアウトサイドにして車に装着してもOKですので、お好みに応じて使っていただけます」と話しています。
またパターンデザインには、ブロックを横から支える構造が操縦安定性を向上させています。
悪路ではタフ・グリップ・スロットというブロックに切り欠けを設けることで、泥や岩をガッチリ掴んで、オフロードでのグリップ力とマッド路面でのトラクションもしっかり発揮。
さらに、ブロックに細かい溝(サイプ)により、雨でも水をサッと排出して滑りにくくするほか、石が挟まるのを防ぐイジェクターや、ノイズを減らすランダムなブロック配置などの細かい工夫により、快適で安定した走りが実現出来るとしています。
また千葉氏は「ショルダー部分が外側にオフセットしており、そういった凹凸で引っ掻くことでマッド性能を確保しています。さらにグリップスロットという、鍵穴のようにブロックがへこんだ部分があり、こういったところでオフロード性能をしっかり確保しつつ、ブロックをランダムに配置することで静粛性も高めています」と、性能面を解説してくれました。

またタイヤの心臓部とも言えるコンパウンド(複合ゴム)についても触れておきましょう。
GRANDTREK R/T01では、微粒子カーボンがポリマー(ゴム分子)同士の結合点を増やすことで強度を高め、耐カット性能・耐摩耗性能・操縦安定性能を実現しているそうです。
さらに3種類のポリマーをブレンドすることで、耐摩耗性能・ドライ性能・ウエットグリップ性能のバランスを最適化。
この技術的なアプローチが、オンロードとオフロードという相反する性能要件の両立を可能にしているのでしょう。
またこの手のタイヤで気になるのは耐久性で、特にオフロード対応タイヤは偏摩耗(片減り)が心配になるもの。
この点についても、GRANDTREK R/T01は接地圧を最適化する構造設計により、特定部位への負荷集中を防ぐ工夫がされているとのこと。
千葉氏は「ゴムの配合は、オフロード性能以外でも、タイヤカット性能やタイヤの耐摩耗性能といったところに注力して開発を進めてきました。北米市場ではタイヤの耐摩耗性能への要求がすごく大きいんですが、そういったところで当社が使ってきた技術を入れた配合になっています」と説明します。
試走会での短時間の走行ではもちろん摩耗の状態は判断できませんが、この手のタイヤを装着したままでの定期的な長距離移動も想定しているユーザーにとっては、この偏摩耗抑制技術は大きなポイントになりそうです。








