最新の技術やデザインがお披露目される「ジャパンモビリティショー（JMS）」。今年は2025年10月に開催予定です。次回は昨年のビジネスショーとは異なり、「ショーイヤー」としてさまざまなコンセプトカーが展示されます。

　前回2023年10月に開催された「ジャパンモビリティショー（JMS）2023」でも、数多くのコンセプトカーが披露され、自動車業界の未来を期待させましたが、なかでもトヨタから発表されたコンセプトカー「カヨイバコ」は、今でも魅力的です。

　ユニークなネーミングのコンセプトカー「カヨイバコ」は、商用利用から個人ユースまで想定したワゴンタイプの次世代車として発表されました。

　カヨイバコのネーミングは、物流業界で製品や部品を運ぶためのコンテナ「通い箱（かよいばこ）」に由来します。

　プラスチックや段ボールにより、用途にあわせた形やサイズで作られる通い箱。

　コンセプトカー カヨイバコも用途にあわせた「超拡張性能」を有しており、さまざまなシーンでの実用性が考慮された仕様となっています。

　カスタマイズできるソフトウェアとハードウェアを組み合わせにより、スマートグリッドをはじめとする高度な知能化社会のシステムにも柔軟に対応可能だといいます。

　たとえばビジネスシーンでは、ラストワンマイル（最終拠点からユーザーへの物流サービス）の課題解決を目標に、移動販売車や小口輸送の効率化、さらには乗り合い用としての利用も想定されています。

　また、アウトドアシーンでの活躍も期待され、車中泊やキャンプ利用もこなせる車内設計やレイアウトも魅力です。

　そして、運転席への容易な移動や、車いす利用者が乗車しやすい設計など、シーンを問わず万人に扱いやすいクルマを目指して造られています。

　全長3990mm×全幅1790mm×全高1855mm、ホイールベースは2800mmのコンパクトなボディのなかに、室内長3127mm×室内幅1485mm×室内高1437mmの広い空間を確保。

　室内長3m以上という数値はトヨタの商用バン「ハイエース」（標準ボディ）以上です。

　パワートレインはバッテリー＋モーターのBEV（バッテリー電気自動車）ということですが、ユーザーの希望に応じてカスタマイズが可能です。

　シンプルなエクステリアは、全体的にスクエア型のデザイン。パワートレイン制約の少なさを利用した長めのホイールベースや低いフロア、エンジンルームの削除など、BEVらしい自由な設計を活かしたものです。

　インテリアも極めてシンプルなものにまとめられています。ダッシュボードはなく、室内幅いっぱいのモニターを装備。フロントウインドウの下にも窓が設けられ、開放感のある室内空間となっています。

　コックピット周りも非常にシンプルで、異型ステアリングとディスプレイに集約した操作系統が配置されているだけで余計な装飾はありません。

　そして、2023年にカヨイバコが発表されたタイミングで、さまざまなカスタマイズが施されたイメージ画像も公開されています。

　イメージ画像の中には、移動販売車や車椅子移動車、配送車、そしてオフロードタイヤやルーフキャリアを備えたアウトドア仕様車も登場。

　そこには、ローダウン＆大径ホイールの都会的なスタイルも掲載されていました。この都会的スタイルのカヨイバコには、フロントフェイスのロゴ表示部分に「bB＋ CONCEPT」の文字が点灯。

「bB」とは、トヨタがかつて販売していたトールワゴンで、若者をターゲットとしたアメリカンでスクエアなスタイリングがヒットしたもの。

　スクエアでスタイリッシュに仕上げられたカスタムや、bBの車名を表示していたことについては、かつてのbBが新型として再販売されるのではとも話題にもなりました。

　ちなみに、現状ではカヨイバコの市販化についての発表は一切ありません。夢のある設計のコンセプトカーであるため、市販化には現実的な課題も多数存在するはずです。

　ですが、さまざまなシーンに対応できるBEVのコンパクトバンという設定は、ビジネスシーン・プライベートどちらの用途も叶えられる需要の高い設定でしょう。

　あくまでコンセプトカーであるカヨイバコですが、その思想や設定はいつか市販車として実現されるのではないでしょうか。そう思わずにはいられないほど、未来への可能性が感じられるコンセプトカーでした。

　次回のJMSでは、果たしてこのカヨイバコの後継モデルが登場するのか。注目が集まります。