まさかの日産「シルビア“後継機”」!? 小型「2ドア“FR”クーペ」×「テンロク“ターボ”」モデルも? めちゃ楽しそうな「IDx」コンセプトに注目!

過去の自動車ショー(モーターショー)に出展されたコンセプトカーのなかには、今も鮮烈な記憶を残す魅力的なモデルが数多く存在します。2013年に発表された日産の2ドアクーペ「IDx(アイディエックス)」シリーズもそんな1台でした。

「カジュアル」仕様と「スポーツ」仕様! 2つの顔を持った「IDx」コンセプトとは

 2025年10月に開催を予定する国内最大の自動車ショー「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」では、さまざまなニューモデルやコンセプトカーの公開が今から待たれるところです。

 過去の自動車ショーにおいても、来場者からおおいに注目を集め、今も記憶に残る魅力的なクルマの数々がありました。

 今回は2013年の第43回「東京モーターショー」で世界初公開された日産の2ドアクーペコンセプト「IDx(アイディエックス)」シリーズについて紹介します。

「次期シルビア」!? 日産が披露した小型「2ドア“FR”クーペ」の正体とは?
「次期シルビア」!? 日産が披露した小型「2ドア“FR”クーペ」の正体とは?

 日産が今から12年前となる2013年の秋に開催された第43回東京モーターショーで発表し、大きな話題を呼んだコンセプトカーがIDxでした。

 2つのタイプが用意され、そのうちのひとつが「IDx フリーフロー」です。

 ボディサイズは全長約4100mm、全幅約1700mm、全高約1300mmという非常にコンパクトな2ドアクーペで、当時すでに珍しかった後輪駆動(FR)レイアウトという貴重なパッケージを持ちます。

 そのスタイリングは、510型「ブルーバードクーペ」(3代目)を思わせるボクシーなフォルムで印象的でした。

 全長だけで見れば、現行の「ノートオーラ NISMO」(4120mm)よりも短く、いかにコンパクトなサイズ感であったかが分かります。

 まさに「現代のシルビア」とも呼ぶべき佇まいをみせていたIDx フリーフロー。

 日産がこのIDx フリーフローで表現していたのは、シンプルでカジュアルなライフスタイルです。

 亜麻色(Flax)のボディカラーは「チノパン」を、エクステリアやインテリア各所のシルバーメッキ加飾は、シルバーのアクセサリーやベルトをイメージしたものとなっていました。

 アナログ時計風のメーターや横長のセンターディスプレイによって、視認性とデザイン性の両面で高い完成度を誇っていたのも印象的です。

 そしてIDxにはもうひとつ、スポーツ仕様の「IDx NISMO」もありました。

 日産が「ドライビングシミュレーターから飛び出してきたような、スポーティモデルの可能性を示した」と説明するIDx NISMO。

 NISMOカラーのデカールやレッドラインで彩られたボディの全幅はIDx フリーフローよりもぐっと広い1800mmに拡大され、ワイド&ローなスタンスにカスタマイズされていました。

 1960年代から1970年代の「スカイライン」や「ブルーバード」をオマージュした意匠が随所に散りばめられており、サイド出しのマフラーや、19インチホイール&225幅40扁平のワイドタイヤなど、往年のレーシングカーを思わせる装備も多数搭載されています。

 インテリアも、赤のアクセントが効いたシートやセンターコンソール、異型ステアリングなど、随所に遊び心と情熱が感じられる仕上がりでした。

 パワートレインは、IDx フリーフローが1.2リッターから1.5リッターのガソリンエンジン+CVT。IDx NISMOは1.6リッター直噴ターボエンジン+6速マニュアルモード付きCVTとされていました。

 往年のクルマ好きからすると、「なぜMTではなくCVTなのか」と思ってしまいますが、日産によるとこの2つのコンセプトカーは、「次世代のお客様に向けた」モデルであり、1990年以降に生まれた世代である「ジェネレーションZ」、いわゆるZ世代をターゲットにしたのだといいます。

 そうしたZ世代の希望であった「気軽に運転したい」という意見から、CVT(6速マニュアルモード付)になったようです。

 とはいえクルマ好きとしては、ぜひマニュアル仕様も用意して欲しいところでしょう。

※ ※ ※

「シルビアの再来ではないか」と大きな期待を集め、実際にそのような動きもあったと噂されていたIDxシリーズでしたが、残念ながら市販化には至りませんでした。

 それでも、その後自らレプリカを製作してしまうマニアが現れるなど、日産ファンを中心に今もなお鮮烈な記憶を残し続ける特別な存在といえます。

 これは、いまや絶滅危惧種となったFRの手ごろな2ドアクーペを求めるニーズが、今も根強く残ることの現れといえるでしょう。

 こうした夢を抱けるコンセプトカーを実際に見られるのは、自動車ショーならではの楽しみ。

 JMS2025では、はたしてIDxのように、私たちクルマファンの心を熱くするモデルが出展されるのか、いまから非常に楽しみです。

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Writer: 吉川 賢一

日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さを伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナなど

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