高速道路の「本線」と「合流車線」一体どっちが優先される? 多くの人が勘違いしてる!? 先頭ギリギリで本線流入する「ファスナー合流」全然ズルくない理由とは?
ネット上で、「高速での合流車線の使い方」について論争が繰り広げられているようです。合流車線の手前で合流すべきか、先頭まで行って合流すべきか、正しい合流のタイミングはどこなのでしょうか。
先頭ギリギリで本線流入する「ファスナー合流」全然ズルくない
ネット上で、「高速での合流タイミング」について論争が繰り広げられることがあります。
「合流車線の先端まで行ってから本線に合流するのは、数台でも前へ行こうとしているように見えるのでズルくないのか?」というものです。
果たして、合流車線はどう使うべきなのでしょうか。

まず、高速道路(自動車専用道路含む)の合流に関して、道路交通法の「第75条の7第1項」にて「自動車は、本線車道に入ろうとする場合において、加速車線がもうけられているときは、その加速車線を走行しなければならない」と定められています。
また、「第75条の6第1項」では「自動車(緊急自動車を除く。)は、本線車道に入ろうとする場合(本線車道から他の本線車道に入ろうとする場合にあっては、道路標識等により指定された本線車道に入ろうとする場合に限る。)において、当該本線車道を通行する自動車があるときは、当該自動車の進行妨害をしてはならない」と明記されています。
つまり、合流車線より本線が優先されるということです。
ただし、合流車線のどこで本線へ合流するのについては明確化されていません。
あくまでも「本線のクルマを邪魔しないタイミングで速やかに合流すること」という流れで、合流車線では「本線車道の流れに乗れるように、十分な加速を」となっているのみなのです。
そんななか、高速道路を運営するNEXCO各社では「ファスナー合流」が推奨されており、これは合流車線の先端で1台ずつ譲り合って合流するという方法です。
教習所の指導員として勤務していたI氏に聞いてみました。
「合流車線の先端か、それとも手前での合流かまでは明確になっていませんが、教習時は『本線車道の交通の流れを妨げない適切なタイミング』を推奨していました。
たとえ先端でなくても、交通の流れや車間距離などで安全かつ適切だと判断したタイミングで、十分に加速できていれば合流してもいいということです。
それよりもウインカーを出したのになかなか次のアクションを起こさないほうが、よほど後続車をイライラさせるので、速やかに合流を済ませることを心掛けるように指導していました」
ただし、これは本線がスムーズに流れ、かつ合流できる車間距離がある場合を想定してのこと。
たとえば長期連休時などで大渋滞が発生している状況では、合流車線の手前で本線に入ろうとすると逆に渋滞が発生してしまうので、車線の先頭ギリギリの地点でファスナー合流をするのが理想的です。
このファスナー合流で問題なのは、自車よりも先に入られるのが嫌なのか、1台ずつ合流するときに譲り合いができないクルマがまだいることです。
「誰だって、渋滞しているときは気持ちがイライラしがちです。合流するときもウインカーを出す、サイドミラーなどで本線車道のクルマがスペースを開けてくれたら速やかに合流することが求められます。
また、法的な意味合いはありませんが、『サンキューハザード』でありがとうの気持ちを伝えるといった配慮も必要ではないでしょうか」
合流車線はあくまで区間であり、先端で合流するより手前で合流したほうが良い場合もあります。
刻一刻と変わる交通状況に合わせるための十分な加速も重要です。ゆっくり走ることだけが安全運転ではないことを覚えておきましょう。
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高速道路の運転に慣れていない人は周囲の早い流れについていけず、判断が遅れがちになります。しかし、この判断の遅れこそが後続車に迷惑をかけてしまいます。
自車がどう動きたいのかを周囲に適切なタイミングでしっかりアピールしつつ、合流時に前に入れてくれるクルマ、先に行きたがっているクルマを瞬時に見極めて、スムーズに合流しましょう。
Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ
2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。



















































