たった205万円! トヨタ「安くて小さなSUV」がスゴい! 手頃な全長4.2mサイズ×スタイリッシュデザインに「最新装備」採用! タフ顔がカッコイイ「ヤリスクロス」最安モデルは“買い”なのか

コンパクトSUV市場で圧倒的人気を誇るトヨタ「ヤリスクロス」。最廉価グレード「X」は約205万円で手に入れることができますが、上級グレードとはどのような点が異なるのでしょうか。

基本性能の高さはベースグレードも共通! 一方で「割り切った面」も

 トヨタ「ヤリスクロス」は、日本のコンパクトSUV市場を代表する人気モデルです。

 その中でも、車両価格(消費税込み、以下同)204万6000円(ガソリン・FF)で購入できる最廉価グレード「X」に注目が集まっています。

トヨタ「ヤリスクロス」最安グレードは「買い」なのか
トヨタ「ヤリスクロス」最安グレードは「買い」なのか

 ヤリスクロスは、Xをベースに、「G」「Z」「Z“アドベンチャー”」「GRスポーツ」などをラインナップし、さらに特別仕様車やサブスクサービス「KINTO Unlimited」専用グレード「U」も設定されています。

 ボディサイズは、全長4180mm×全幅1765mm×全高1590mmと非常にコンパクトに抑えられています。

 そんなヤリスクロス Xの基本性能を確認しておきましょう。

 搭載されるのは、1.5リッター直列3気筒エンジンにCVTを組み合わせたパワートレインです。

 最高出力は120PS、最大トルクは145N・mを発生。街乗りから高速道路まで、日常使いには十分な性能を持っており、カタログ燃費も19.8km/L(WLTCモード燃費)とこちらも優秀な数値です。

 なおこのほかに1.5リッターハイブリッドモデルも用意され、こちらはカタログ燃費30.8km/Lとさらに圧倒的な低燃費性能を誇りますが、ヤリスクロス Xの場合で243万3200円(FF)と、39万円弱も価格が上がるのが難点といえます。

 両パワートレインともにプラットフォームはTNGA「GA-B」を採用。軽量高剛性のボディが高い衝突安全性と操縦安定性を実現しており、JNCAPの衝突安全テストでも最高評価の「ファイブスター賞」を獲得しています。構造的な安全性は極めて高い水準にあります。

 また先進運転支援機能についても、「トヨタセーフティセンス」が標準搭載され、基本的な予防安全性能も網羅されています。

 ただし死角補助のブラインドスポットモニター(BSM)は非装備で、オプション選択もできない点だけ注意が必要です。

 一方で装備面を見ていくと、ヤリスクロス Xの割り切り具合が随所に見えてきます。

 外観では、16インチスチールホイールに樹脂製フルキャップを装着。フロントグリルも無塗装の黒い樹脂仕上げです。

 ヘッドライトはハロゲンプロジェクター式で、LEDに比べると光量やデザインの面でやや物足りなさがあります。

 インテリアもシンプルにまとめられています。

 ステアリングとシフトノブはウレタン製。ダッシュボードやドア内張りには硬質プラスチックが多用されています。

 シートはヘッドレスト一体型のファブリックタイプ。運転席のアームレストも省かれ、エアコンはマニュアル式、スピーカーも2つのみと快適性は控えめです。

 ただし8インチディスプレイオーディオと6スピーカーは標準装備で、スマートフォンと組み合わせれば快適なドライブが楽しめます。

 ここで気になるのが、上位グレードとの価格差です。

 ヤリスクロス Xの上に位置する「G」グレード(ガソリン・FF)の価格は217万2500円。その差は約13万円です。

 わずかな差ですが、16インチアルミホイール、本革巻きステアリング、前席ヘッドレスト独立型の上級ファブリックシート、オートエアコン、より高機能なセンターアームレスト付きの4:2:4分割可倒式リアシート(Xは6:4分割可倒式)などが装備されます。

 さらに、フルLEDヘッドランプパッケージやパノラミックビューモニター、シートヒーター、ステアリングヒーター、BSMなどのオプション選択肢も広がります。

 そして251万3500円(ガソリン・FF)のZになると、Gでオプションだった快適装備や、切削光輝加工を施した18インチアルミホイールなど、見栄えの面も含めてさらにグレードアップしていきますが、Gから一気に34万1000円もアップすることになります。

 こうして見ると、ヤリスクロス Xにオプションを積み重ねるより、最初からGにステップアップする方が、装備面・快適性・安全性ともに圧倒的にコストパフォーマンスが高いことがわかります。

 確かに「安く新車を買って、後から好みにカスタムすればいい」と考える人もいるでしょう。

 しかし現実には後付けのアルミホイールやLEDライト、内装部品交換などを進めると、パーツ代と工賃で簡単に数十万円規模の追加出費が発生します。

 結果的に、最初から上級グレードを選んだ方が合理的だったと感じるケースは少なくありません。

 もし予算が200万円前後に限定されるなら、新車のヤリスクロス Xではなく、2~3年落ちの中古車で上級グレードを狙ったほうが、装備・質感・安全性ともに格段に満足度が高くなるかもしれません。併せて検討すると良いでしょう。

 価格だけにとらわれず、装備内容、将来の価値、所有満足度まで冷静に見極めた上で、慎重に選ぶことが大切です。

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Writer: 佐藤 亨

自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。

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