日産独自の「e-POWER」何がスゴい? まもなく公開の「新型エルグランド」にも搭載の「第3世代」とは? 日産の「未来を変える」“画期的”新技術の凄さとは
日産が順次投入していく「第3世代e-POWER」は、何が進化しているのでしょうか。
ウイークポイントを解消 日産の「未来」を背負う画期的進化
日産は、第3世代となる独自のハイブリッド「e-POWER」を市場投入すると発表しており、2025年6月26日に発表されたばかりの「キャシュカイ」に早速採用されました。
すでに日本の一部自動車メディア向けにも試乗会が行われるなど、注目の技術となっていますが、第3世代e-POWERはどのような点が進化しているのでしょうか。そのポイントを見てみましょう。

そもそもe-POWERは、日産独自のシリーズ式ハイブリッドのことを指します。シリーズ式ハイブリッドとは、エンジンを発電専用とし、モーターで駆動するものとなっています。
そしてこれまでのe-POWERは、高速域での燃費を課題とする声が多くありました。そのウィークポイントは日産も分かっていたようで、第3世代e-POWERでは高速域の燃費を15%、モード平均で9%向上させたそうです。
この燃費性能向上を実現したのは、e-POWERのエンジンを「発電特化型」としてメカニズムを見つめ直したからとのこと。ここからは具体的に採用された技術を紹介していきます。
発電用エンジンは駆動用エンジンと異なり、同じ回転数でトルクを出し続ける“定点運動”が最も効率的となります。
これに合わせて日産の独自コンセプトである、回転数変動のない、安定した燃焼である「STARC」コンセプトによるリーン燃焼を実現するために、様々な技術的アプローチが取られました。
吸気ポート、燃焼室、ピストン形状などは定点運動に特化したもので、回転数の変動が大きな駆動用エンジンでは採用される可能性がないものとなっています。
また、ターボが効き始めるまでのターボラグを気にしなくていいので、タービンも以前より大型のものが採用されています。
そのほか、ロングストローク化や低フリクション(振動)の追求などが行われ、効率が高められています。結果的に以前よりも低い回転数で高いトルクを発生するエンジンとなり、効率が高まったとのことです。熱効率は42%を実現しています。
そして、近年の日産のエンジン技術といえば、圧縮比を可変させる「可変圧縮比」技術(VCターボ)でしたが、発電に特化させる回転数と高圧縮比を採用したため、第3世代e-POWERでは、可変圧縮比技術は採用されていません。
そのほか、第3世代e-POWERの特徴としては、パワートレインのユニットが高剛性かつ小型になったことが挙げられます。
第3世代e-POWERはモジュール化されており、「5-in-1」とも呼ばれています。これはモーター、発電機、インバーター、減速機、増速機の5つの主要部品をコンパクトで軽量なケースに統合しているためです。
ユニット自体が高剛性化しており、第2世代と乗り比べるとまるでボディ剛性が高まったようで、乗り心地や静粛性がワンランク上のものとなっています。
日本市場では2026年度に発売される新型「エルグランド」から市場投入されると予告されている第3世代e-POWER。
日産の未来を背負うパワートレインとして、正当な進化が確実に感じられるものとなっています。
Writer: 西川昇吾
1997年生まれ、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。大学時代から自動車ライターとしての活動をスタートさせる。現在は新車情報のほか、自動車に関するアイテムや文化、新技術や新サービスの記事執筆も手掛ける。また自身でのモータースポーツ活動もしており、その経験を基にした車両評価も行う。
エルグランドみたいな大きな車でも1.5Lで良いなら、
小型車から大型車までこのエンジンだけでカバーできそうね。