クルマの「カタログ燃費」と「実燃費」なぜ違う! 一体どんな「計測方法」をしてるの!? 実は“ちょっとした工夫”で「約10%」の燃費改善も!

カタログに並ぶ燃費数値とリアルな燃費の開きは、なぜ生じてしまうのでしょうか。

クルマの「カタログ燃費」と「実燃費」なぜ違う!

 クルマに乗っていて、カタログに記載されている燃費と実際に走行した際の燃費にギャップがあると感じる人も多いかもしれません。

 カタログ燃費と実燃費に違いが生じてしまうのは一体なぜなのでしょうか。

ガソリンの消費は抑えたいものです(※画像はイメージ)
ガソリンの消費は抑えたいものです(※画像はイメージ)

 そもそもカタログ燃費は、国土交通省が告示したWLTCモード試験に基づいて測定されます。

 同告示によれば、「市街地」「郊外」「高速」の三つの速度領域を組み合わせ、これらの走行パターンを約30分間シャシダイナモメータ上で再現します。

 平均速度は、市街地が17km/h、郊外が39km/h、高速が62km/hで、エアコンやオーディオは使用せず、車両には荷物を積みません。

 さらに風洞法で個体ごとの走行抵抗を測定し、試験装置の負荷を補正します。

 このようにカタログに記載されている燃費は理想条件で算出されており、雨風や交通状況が加わる日常のドライブとは切り離された上限値にとどまります。

 そのため、カタログ燃費と実燃費ではドライバーの運転方法や外部環境によって差が生じてしまうのです。

※ ※ ※

 この開きについて、一般社団法人日本自動車工業会(以下JAMAと記載)の担当者は次のように話します。

「WLTCモードの市街地、郊外、高速の各モードで想定されている平均速度と、実走行の平均車速のずれや加減速の度合いが大きくなるほど、実燃費との差が大きくなると言えます」

 つまり、速度変動がカタログ燃費と実燃費を隔てる最大の要因と言えます。

 また速度変動による燃費への影響について、前出の担当者は次のように話します。

「実走行で平均車速が落ちる分かりやすい例として、渋滞が挙げられます。

 渋滞が発生しやすい都市部の走行時には、市街地モード平均車速よりも低いと燃費値との差が発生しやすいと考えられます。

 さらに高速道路で高速道路モードの平均車速よりも高い速度で走る場合は、空気抵抗が大きくなるためこれも燃費悪化となります」

 また国土交通省の分析資料では、高速道路を100km以上にわたって連続走行した場合に、実燃費がカタログ値の9割前後まで回復する例を示しています。

 一定速度域を長時間保つことが燃費向上の近道であると分かります。

 そのほか速度変化以外にも生じる燃費への影響については、「ユーザーの運転の仕方や登坂などの道路環境や気候に影響を大きく受けますし、アクセルの踏み方や乗車人数、エアコンのON/OFFなども大きく影響します」とのこと。

 ちなみに、JAMAがまとめた「実走行燃費調査報告書」によると、WLTCモード導入後も実燃費はカタログ値より平均で1~2割低い水準に収まるそうです。

 ただし短距離走行が主体の場合や、梅雨時でエアコン稼働が増える場面では、差が2割を超える事例も見られます。

 特にハイブリッド車はエンジンとモーターの協調領域が狭まりやすく、初夏でも渋滞中のギャップが目立つ傾向が見られるようです。

※ ※ ※

 それでは、なるべくカタログ燃費に近づけるために、クルマの運転でどのように工夫すればよいのでしょうか。

 前出の担当者は「関係省庁では、そのような燃料消費やCO2排出量を減らして地球温暖化防止に繋げる運転技術や心がけを『エコドライブ10のすすめ』としてまとめており、普及・推進を図っております」と助言しています。

 このエコドライブ10のすすめによると、穏やかな「eスタート」として発進後5秒に時速20km程度までゆっくり加速すれば、約10%燃費が改善するとのこと。

 走行中は車間距離を確保して速度変化を抑え、市街地で2%、郊外で6%の悪化を防ぎます。

 さらに、停止が予測できたら早めにアクセルを戻しエンジンブレーキを使うと、2%向上するようです。

 くわえてエアコンの温度設定は「25度」にとどめ、暖房のみ必要なときはエアコンスイッチをOFFにすると、12%の悪化を抑えられます。

 そして停車中のアイドリングは10分で約130cc消費するためエンジンを切り、出発前に渋滞情報を確認して遠回りを避ければ、燃料17%増を回避できます。

 そのほか月1回はタイヤ空気圧を点検し、不要な荷物を降ろして軽量化、空気抵抗になる未使用のキャリアを取り外すことも燃費改善に有効です。

※ ※ ※

 このように、カタログ燃費との差は完全には埋められませんが、運転の工夫で縮めることは可能です。

 WLTCモードの背景を理解し、エコドライブ10のすすめを意識しながら速度変化を抑えれば、燃料費の節約に加えてCO2削減にもつながります。

【画像】「えっ…!」 これが「押すだけで燃費が良くなるボタン」です!(21枚)

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1件のコメント

  1. くるまのニュースにしては珍しい記事じゃん。しかもピーコック。
    シャシダイで62キロは勉強になったけど、今の高速の半分の速度じゃん。メーカーには100〜120キロ走行燃費も調べてほしい。YouTubeなんかにあっても素人走行だし車自体も個体差が激しいだろうからな。
    それと記事ボリューム的に10・15モードやJC08モードにも触れても良かった。

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