自宅駐車場前の「段差スロープ」実は“違法”!? 事故を誘発する原因にも! 自治体も警告する「設置のリスク」とは
道路と敷地との段差を解消し、クルマや自転車を乗り入れやすくする段差スロープは、自宅駐車場の前などに当たり前のように使われていますが、実は違法となる可能性もあるといいます。どういうことでしょうか。
思わぬ事故の原因にもなり得る「段差スロープ」
自宅駐車場の前に設置されていることが多い段差解消スロープ(段差スロープ/駐車スロープ)は、住宅地などでよく見かけます。
実は昨今、この段差スロープの設置に関して注意を呼び掛ける自治体が増えているといいます。
![「段差スロープ」のリスクとは!?[イメージ画像:PIXTA/この状態が違法であるかは不明です]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2026/02/20250212_slope_000.jpg?v=1739344991)
敷地と道路との間の段差を解消してくれる段差スロープ。
これがあることで、段差をスムーズに乗り越えることができるため、自宅駐車場の前などに設置しているという人は少なくないでしょう。
しかし段差スロープの設置は、「みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある行為をすること」を禁止している道路法第43条の違反に該当する可能性があります。
また、「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない」とする道路交通法第76条3にも違反する可能性も。
道路法違反とされた場合は、1年以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金に処せられ、道路交通法違反とされれば、3か月以下の拘禁刑、または5万円以下の罰金に処されます。
ただ、問われるのは刑事責任だけではありません。
段差スロープが設置されていることが原因で、通行人に危害が及んだ場合、不法行為に基づく損害賠償義務も発生してしまうのです。
実際、バイクで走行中に段差スロープに乗り上げたことが原因で転倒、クルマにはねられて死亡してしまうという事故が過去には発生しています。
死亡や後遺障害に至ってしまった場合は、治療費や慰謝料などとして高額な賠償を求められる可能性もあるのです。
自宅前の通行人に危害が及ぶだけでなく、大雨によって流されてしまえば思わぬ場所で事故の原因になってしまうことも考えられますし、段差解消スロープが雨水の排水を妨げてしまう可能性も考えられます。
こうしたことから、近年は段差スロープを設置しないようにとする自治体も増えており、たとえば東京都葛飾区や千葉県柏市、東京都小平市、広島県広島市など各地で、公式ウェブサイトなどから「道路上に段差解消スロープを設置しないように」と呼びかけています。
とはいえ、現実問題として段差スロープがないとクルマの駐車に支障がでるケースは多いでしょう。
段差を乗り越えるためにうっかりアクセルの踏み加減を間違えてしまい、周囲の物件に衝突してしまう可能性もあります。
そのため多くの自治体では、自費(個人負担)で道路の歩道部分や縁石などを切り下げる道路法第24条による工事(道路の管理者以外の者が、自身の都合で道路の形状を変える工事)をすることで、段差を解消するように推奨しています。
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バイクで段差スロープに乗り上げて転倒したことで、クルマにはねられて死亡したという事故では、段差スロープの設置者が道路交通法違反で書類送検され、略式起訴されたそうです。
所有する敷地前に段差スロープを設置している人は、スロープの撤去と切り下げ工事の検討をオススメします。
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