【危険】スーツケースに座って電動キックボードを運転!? SNSでは様々な反応が…!? どんな違反になる? 元警察官が解説

最近では都市部を中心に電動キックボードの利用が広がっています。そんななか、「LUUP(ループ)」の上にスーツケースを乗せ、イス代わりにして乗車している男性の映像が撮影され、話題となりました。一体どのような違反に当たるのでしょうか。

インターネット上では「危険だしやめて欲しい」、「公道走らせちゃダメ」などの声

 先日、電動キックボード「LUUP(ループ)」の上にスーツケースを乗せ、イス代わりにして乗車している男性の映像が撮影され、話題となりました。

 では、これは一体どのような違反に当たるのでしょうか。

電動キックボードで危険な乗り方をしている人が目撃された(画像はイメージ、クレジット:’90 Bantam/PIXTA)
電動キックボードで危険な乗り方をしている人が目撃された(画像はイメージ、クレジット:’90 Bantam/PIXTA)

 最近では都市部を中心に、「LUUP(ループ)」をはじめとする電動キックボードの利用が広がっています。

 電動キックボードはコンパクトで置き場所に困らない、維持費が安いといったメリットがある一方で、運転手が一時停止しない、車道を逆走するなど交通ルール・マナーの悪さがたびたび指摘されてきました。

 そのような状況の中、先日、東京都中野区内の道路において、男性がLUUPのデッキ(運転手が立って乗る部分)にスーツケースを置き、それをイス代わりにして座りながら運転する様子が撮影され、インターネット上で話題を呼んでいます。

 この運転行為に対しては「危険だしやめて欲しい」、「こんな人公道走らせちゃダメでしょ」など批判的な声が相次いでいます。

 さらに「この前キャリーケースを乗せて運転してる人がカーブでキャリーケースだけ落としているのを見た。車道まで滑っていって後続車がブレーキ踏んでました」などの目撃情報も寄せられました。

 では、具体的にどのような点が問題となるのでしょうか。

 そもそも、LUUPのように最高速度が自転車と同程度(時速20km以下)、原動機の定格出力が0.6キロワット以下であるといった一定の要件を満たす電動キックボードは、「特定小型原動機付自転車」に分類され、16歳以上であれば運転免許なしで運転できます。

 このような電動キックボードを運転するときは、車道と歩道(または路側帯)の区別がある場所では車道を通行しなければならないほか、原則として車道の左側に寄って通行すること、信号や道路標識に従うといった基本的な交通ルールを守る必要があります。

 また当然ながら、飲酒運転や二人乗りなども禁止されています。

 今回問題となったスーツケースをイス代わりにして運転する行為についても、道路交通法違反に当たると考えられます。

 たとえば道路交通法第55条第2条には乗車や荷物の積載方法に関して、次のように規定しています。

「車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない」

 仮に電動キックボードのデッキに乗せたスーツケースが何らかのはずみで動いた場合、運転手もバランスを崩して転倒するおそれがあり、上記条文にある「車両の安定を害するような乗車・積載」に該当すると考えられます。

 加えて道路交通法第70条においては、安全運転の義務について以下のように規定しています。

「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」

 スーツケースを乗せた電動キックボードで転倒すれば、周囲の車両や歩行者を巻き込む事故を起こす可能性があり、この法令にも抵触するものとみられます。

 運転手だけでなく周りの人の安全のためにも、交通ルールをしっかり守ることが大切です。

 電動キックボードの違反行為への対策についてLuupは、自社のウェブサイトで次のように説明しています。

「重大な交通事故につながりかねない悪質な違反走行が確認された場合、当社ではアカウント凍結などの対応をとっております。

 悪質な違反者においては電動キックボードをご利用いただけなくなるよう、引き続き厳しい措置を講じていきます。

 現時点では、凍結が解除され、再度電動キックボードが利用可能になることはありません」(文章を一部抜粋)

※ ※ ※

 電動キックボードの運転に対しては「信号無視や、後方を確認せずに車線をまたぐなど無法地帯状態」、「免許なしで運転する事を許可しているから、道路交通法を知らないまま運転する利用者が増えている」といった厳しい声も多く聞かれました。

 利用者は自分の運転次第で重大事故につながる危険性があることを十分に認識し、正しい交通ルールを身につけるべきといえるでしょう。

【画像】これが違反行為? 電動キックボードの現状を見る(11枚)

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Writer: 元警察官はる

2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。

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