2025年11月5日から8日にかけて米国ラスベガスで開催された「SEMAショー2025」で、トヨタが出展した新型オフロードコンセプト「サイオン 01 コンセプト」が大きな関心を集めています。

　サイオンとは、かつてトヨタが2003年から2016年まで北米で若者向けに展開していた独立ブランドで、その名が冠されるのは9年ぶりとなります。

　サイオン 01 コンセプトは、究極のアウトドアアドベンチャー体験を追求するために開発された、サイド・バイ・サイド（SXS）と呼ばれる全地形対応車の姿を新たな解釈で提示した研究開発モデルです。

　開発の中心となったのは、北米トヨタに在籍するオフロード愛好家のエンジニアたちであり、トヨタが誇る耐久性とサイオンの実験的なDNAを掛け合わせることで、探求・パフォーマンス・デザインの新たな可能性を目指しています。

　パワートレインには、トヨタのトラック系から派生した高出力ターボチャージャー付き4気筒ハイブリッド（排気量未発表）を搭載し、システム最高出力は300PSを超える性能を実現。スリリングな加速と優れた効率をバランスさせています。このハイブリッドシステムには、EV走行のみで静かにトレイルを進める「サイレントモード」も用意されており、自然の音に浸りながら走行できる点が特徴です。

　車体はゼロから専用設計され、高速走行から険しいトレイル、テクニカルなロッククローリングまで、多様な状況をこなします。さらに、ストロークの長いサスペンションとバランスを重視したトレッド幅を持ち、狭い荒れた道でも機敏に走り抜ける性能を備え、パワー、走破性、航続距離のすべてで既存のSXSを超えることを目標としています。

　安全性と耐久性にも重きが置かれており、トヨタが直接開発したこの種のクルマとして初となるFIA準拠のロールケージを採用し、FIAのレース基準なども満たしています。

　駆動系やサスペンション、ブレーキには極限環境での信頼性を考慮し、実績のあるトヨタ製部品が使われています。

　デザインは、トヨタのデザイン拠点であるCALTY Design Researchが手がけました。ユニークな革新性とクラフトマンシップを融合し、高速の砂丘走行から数日間にわたるトレイルアドベンチャーまで、パフォーマンス、効率、冒険を一つのパッケージに昇華させています。

　チーフエンジニア兼ビークルパフォーマンス開発担当副社長のドン・フェデリコ氏は、「サイオン01コンセプトは、トヨタの得意分野と我々を駆り立てる情熱を融合させたもの。先進的なパフォーマンスと冒険への深い熱意の交差点です」とコメントしています。

　同コンセプトモデルに対し、ネット上では「まさかサイオンが復活するとは」とブランド名再登場に驚く声や「なぜバギーにその名を？」「思っていたのと違う」「クーペやコンパクトカーでの復活を期待した」という戸惑いの声も見られました。

　また、「バギーで300馬力は狂気」「モンスターマシンだ」「楽しそうすぎる」といった興奮の声も寄せられています。

　サイオン 01 コンセプトはあくまでコンセプト車両であり、現時点で販売の予定はありません。しかし、トヨタのハイブリッド技術がパフォーマンスや効率、そして冒険性をいかに高めることができるか、その可能性を力強く示した一台と言えるでしょう。