キャリイはどこが変わった? ペラペラのパネルが実は“アツイ”!「人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA」 スズキ/デンソーブース
パシフィコ横浜で2025年5月21日から23日にわたって開催されている「人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA」には、クルマに関わるメーカーやサプライヤーなどが数多く出展しており、平日にもかかわらず多くの来場者でにぎわっています。今回は、そのような会場で気になった出展物を紹介します。
「人テク横浜」 出展社数は617社! スズキは「BEVキャリイ」を出展
公益社団法人自動車技術会が主催する「人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA」(通称:人テク)が、2025年5月21日から23日の3日間にわたってパシフィコ横浜(横浜市西区)で開催されています。

このイベントは、最新技術や製品を世界に向けて発信することを目的とした、自動車技術のための国内最大の技術展です。技術者や研究者をはじめ、自動車業界に携わる人々が技術に関する議論を行い、交流する場となっています。なお本年のテーマは「新技術との融合で、モビリティの未来へ」です。
出展社数は、初出展103社を含む617社。出展内容が世界初のものは16件、日本初のものは20件です。今回は、そのようななかから筆者(小鮒康一)が気になった出展物をピックアップして紹介します。
軽自動車やコンパクトカーなどを多く手掛けるスズキのブースでは、軽トラックの「キャリイ」をベースとしたBEV(電気自動車)が展示されています。
バッテリーは荷台の下にピッタリ収まる
この車両は、「BEV軽トラック」の潜在需要や、BEVの電池を活用した太陽光発電エネルギーの「自産自消」に関する実証実験を行うために開発され、2025年4月に発表されたばかり。静岡県の浜松市と湖西市、愛知県豊川市、熊本県阿蘇郡の各地で、農業を営むユーザーに計6台の車両を貸し出し、その評価を得たいとしています。
ベースの「キャリイ」は660ccのエンジンを搭載した4WDのAT車です。実験に用いる「BEV軽トラック」は、「キャリイ」のパワートレインのみをBEV化したもので、1つのモーターの動力を、ガソリンモデルと同様にプロペラシャフトやデファレンシャルを用いて4輪に分配するというシンプルな構成となっています。

駆動用バッテリーは荷台の下にピッタリ収まっているため、荷台容量はベース車と全く変わっていません(最大350kg)。車室内もガソリンモデルと同様のスペースが確保され、車両重量の増加も100kg程度に抑えられています。
外観上の違いは、電気自動車の電力を家庭用の電源としても使用できるV2Hシステムを搭載するため、CHAdeMO規格のソケットが荷台左側下部に備わっている点です。とはいえBEVであるためマフラーがなく、軽トラックとしての積載性は全く犠牲になっていません。
現時点で搭載されているバッテリー容量やモーターの出力などは明らかにされていませんが、スズキは国や地域、ユーザーの使用状況に合わせ、エネルギー効率がベストとなる選択をし、過剰なバッテリーを搭載しない「バッテリーリーンな電動車」の実現を目指したい構えです。
BEVの運用についてはさまざまな意見が挙がっていますが、自宅と畑の往復など短距離移動が主の軽トラックには非常にマッチしているとも言え、必要最小限の容量のバッテリーで価格を抑えることができれば、多くのユーザーに支持される可能性は非常に高いのではないでしょうか。これこそが、地域やヒトに寄り添ったクルマづくりなのかもしれません。
輻射ヒーターとは面白い。BEVに限らずガソリン車でも搭載したら良い。冬の寒い朝に直ぐに暖まるなら快適だ。