“約27万円”のエントリーモデルにも搭載!? 「アシスト&スリッパークラッチ」がスゴイ! ツーリングも街乗りもラクになる「高機能装備」とは

かつてはサーキット走行や上級スポーツモデル専用だった「アシスト&スリッパークラッチ」。いまや街乗りバイクや125ccモデルにも広がり、バイク初心者でも扱いやすい装備として注目されています。一体どのような仕組みでどのような効果があるのでしょうか。

快適性&安定性が向上する「アシスト&スリッパークラッチ」!

 近年、バイク市場では、これまで大型バイクや上級スポーツモデルに装備されていた技術や装備が、250cc以下の低排気量モデルにも広がりを見せています。

 その代表的な装備のひとつが「アシスト&スリッパークラッチ」(※「アシスト&スリッパー」は株式会社エフ・シー・シーの登録商標)です。

 一体どのような仕組みでどのような効果があるのでしょうか。

バイクに搭載されるアシスト&スリッパ―クラッチのイメージ図  [画像はイメージです/編集部員が作成]
バイクに搭載されるアシスト&スリッパ―クラッチのイメージ図 [画像はイメージです/編集部員が作成]

 かつてはサーキット走行を想定したスポーツモデルやフラッグシップモデルにのみ採用されていましたが、近年ではライダー人口の多様化や快適性、安全性へのニーズの高まりを受け、エントリーモデルや日常使いを重視したストリートバイクにも搭載が進んでいます。

 アシスト&スリッパークラッチは、その名のとおり「アシスト機構」と「スリッパー機構」という2つの機能を備えたクラッチシステムで、現在主流となっているのは「湿式多板アシスト&スリッパークラッチ」です。

 アルミカム構造を採用することで、小型軽量化を実現しながら、クラッチレバー荷重の大幅な軽減や、急激なエンジンブレーキ時のバックトルク低減を可能としています。

 アシスト機構は、クラッチ操作時にライダーの入力を補助し、エンジントルクを利用してクラッチプレートを押さえつけることで、クラッチレバーの操作を軽くします。これにより、長時間のツーリングや街乗りでも疲れにくく、渋滞時のストップ&ゴーでもストレスを感じにくくなります。

 一方のスリッパー機構は、減速時に過剰なエンジンブレーキがかかった際にクラッチが部分的に滑ることで、後輪への急激なトルク伝達を抑制します。

 ここで重要な役割を果たすのが「バックトルクリミッター」と呼ばれる仕組みです。バックトルクリミッターは、後輪からエンジンに逆方向のトルクが過剰にかかるのを制限し、クラッチを滑らせることで、ホイールロックや車体の振られを防止。特に高回転からのシフトダウン時や、滑りやすい路面でも車体の挙動を安定させ、より安全な走行をサポートします。

 これらの機構は、スポーツ走行のみならず、日常の急な減速時などでも安心感を高める重要な装備となっています。

 また、スズキには独自開発の「スズキクラッチアシストシステム(SCAS)」があります。

 SCASはスズキ独自のクラッチシステムで、アシスト&スリッパークラッチと同様にクラッチ操作の軽減やバックトルクの低減を実現。

 スズキの場合、上級車種に標準装備され、独自のチューニングでライダーの快適性と安全性を高めています。

 こうしたクラッチシステムは、ライダーの操作性を向上させるだけでなく、クラッチプレートへの負担軽減にもつながり、メンテナンス性の向上や部品寿命の延長にも貢献します。

 実際、国内市場では、ヤマハ「XSR125」(販売価格(消費税込、以下同):50万6000円)をはじめ、250ccクラスのヤマハ「YZF-R25」(69万800円)、カワサキ「Ninja ZX-25R」(99万2200円)、ホンダ「CBR250RR」(90万2000円)など、スポーツモデルを中心に標準装備されています。

 一方、中国や東南アジアの海外モデルでは、中国ホンダ「CB190TR」(約27万円)やインドヤマハ「YZF-R15」(約30万円)などのエントリーモデルにも積極的に導入されており、幅広いライダー層の利便性と安全性の向上に寄与しています。

 今後はさらに多くの車種への標準装備が期待される機能であり、初心者でも安心感を持ってバイクライフを楽しむことができるほか、スポーツライディングの幅も広がっていくでしょう。

 操作性と安全性を両立したアシスト&スリッパークラッチは、すでにバイク選びの重要なチェックポイントとなっています。

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