「免許を返納しても運転してしまう…」 77歳男性、免許返納4か月後に事故起こし、無免許運転で逮捕! 高齢者の事故を防ぐには? 元警察官が解説
先日、静岡県浜松市において、4か月前に運転免許を返納したばかりの70代男性が無免許運転をしたとして現行犯逮捕されました。この事案はどのようにして発生したのでしょうか。
インターネット上では「これから同様の問題が増えるのでは」、「免許返納すれば『終わり』ではない」との声
静岡県警は4月27日、浜松市浜名区の道路において軽トラックを無免許で運転していた77歳の男性を現行犯逮捕しました。
この事案はインターネット上で大きな反響を呼んでいますが、一体どのような声が寄せられているのでしょうか。

男性は4月27日午後1時半頃、自宅近くの交差点で停車していたクルマに追突、さらにバックした際に後続車に衝突する事故を起こしており、現場に駆けつけた警察官の確認により無免許運転が発覚したということです。
驚くべきことに、逮捕された男性は2024年12月、高齢を理由に運転免許証を自主返納したばかりでした。
男性は警察の調べに対し容疑を認めており、警察は今後、無免許運転をした理由などについて捜査するとしています。
このニュースはインターネット上で大きな反響を呼んでおり、「これから同様の問題が多くなっていくのではないかと危惧している」、「免許を返納したとしてもクルマがあれば物理的に乗れてしまうからね」など、免許の返納が必ずしも高齢者事故の抑止につながるとは限らないとの懸念が聞かれました。
高齢の家族を説得して免許証を返納させた経験のある人からは「うちは祖父に免許を返納させる際、先にディーラーへ連絡してクルマを引き取ってもらいました。クルマを運んでもらう前も、家族会議で返納を決めた際に鍵は父が預かりこちらの家で保管していました」との声も寄せられています。
また「私の父も88歳で認知症の症状が出たので、何度も返納するように言ったのですがなかなか言う事を聞きませんでした」、「返納さえできれば終わりでなくてそこから新しい課題が生まれるのでクリアしなきゃならない」などの意見もみられました。
公共交通機関が充実していない地域では、高齢者が免許証を返納すると買い物や通院など必要な施設に行けなくなるという課題が噴出します。
加えて認知症の高齢者の場合、免許証を返納したこと自体を忘れてクルマを運転したり、家族がクルマの鍵を隠しても必死に探したりといった行動をとるケースもあります。
インターネット上ではこの課題について「近くに子供など協力者がいればよいが、そうでは無い人も多い。タクシーを使う経済的余裕の無い人もいる。高齢者の事故は深刻だが、免許の年齢規制、クルマ自体への対策とあわせ、代替の交通手段が議論の中心ではないか」との声が聞かれました。
免許証の返納も高齢者事故を防ぐ対策のひとつとして重要ではあるものの、今後は高齢者が免許証を返納した後も変わりなく生活できるような仕組みづくりが求められるといえるでしょう。

なお、一部の高齢化が進む中山間地域においては「自動運転サービス」の社会実験が始まっています。
その一例として、秋田県の上小阿仁村では自動運転車両が道の駅と各集落を結ぶルートを運行して、高齢者の送迎、農作物・日用品の配送などをおこなっています。
自動運転サービスについてはこの他にも、滋賀県の道の駅「奥永源寺渓流の里」、島根県の道の駅「赤来高原」などで社会実装されており、自動運転車両の導入が高齢者の生活を支える鍵となるかもしれません。
そして高齢者による無免許運転や事故の防止に向けては「免許証をかざさないと運転できないようなクルマを作ってほしい」、「ブレーキとアクセルの踏み間違い防止機能はすべてのクルマに標準装備すべき」などの要望も寄せられています。
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実は高齢者が免許証を返納後、公共交通機関の不足による不便さや認知症の影響などによってクルマを運転してしまう事例は過去にも多く発生しています。
このような事案を防ぐためには免許証の返納だけでなく、返納後の生活を見据えた対策が必要といえるでしょう。
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