斬新「前“1ドア”スポーツカー」実車公開! 全高わずか84cm“極薄ボディ”×1.6リッターV4エンジン搭載! “奇跡の来日”果たした「ストラトスゼロ」がスゴかった!
ラリーウェポン「ストラトス」誕生の契機を生む
ストラトスゼロは、自社のデザイン力の高さをランチアにアピールしてランチアから受注を獲得したい、と願うベルトーネの提案でした。
そして当時のランチアはラリー競技にフルヴィアで参戦していましたが、ライバルであるポルシェ「911」やアルピーヌ「A110」の台頭により苦戦、戦闘力の高い後継モデルの投入に苦慮していました。
![ランチャ「ストラトス HF Gr4」WRC参戦モデル(1973)[写真は「富士モータースポーツミュージアム」特別展示車両/「マカルーゾ財団」コレクションモデル]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2026/05/20250501_LANCIA-STRATOs_1_-1.jpg?v=1746083715)
そんな折、ランチア・ワークスチームで指揮を務めていたチェザーレ・フィオリオは、異様なまでにコンパクトなミッドシップ車、というストラトスゼロのディメンションを見て次期ラリーマシンへのひらめきを得ます。
そして“量産型”といえる「ストラトス」が誕生。
1971年に発表・1972年から競技に投入、1974年・1975年にかけて約500台が作られ、世界ラリー選手権(WRC)で圧倒的な強さを発揮したのはご存知の通りです。
ストラトスは、スーパーカー世代のみならずクルマ好きなら胸が熱くなる名車です。
それを生む契機となったストラトスゼロもまた、世界で一台だけ作られたコンセプトカーです。
かつてはベルトーネ自身が保管していたものの、2011年に同社のコンセプトカー6台とともにオークションで売却。現在はアメリカのコレクターが個人で所有しています。
しかし2025年3月15日から16日に、奈良県の薬師寺を舞台に開催された「コンコルソ・デレガンツァ・ジャパン2025」に向けて日本に上陸。
美しい日本の風景に置かれたストラトスゼロの不思議なマッチングに、多くの人が胸を打たれました。
そのストラトスゼロがオートモビル カウンシルに来場したとあって、SNSへの投稿や現車を前にした人からは、「このクルマを見るために会場に来た」「日本で見られるなんて!」など興奮気味の感想が多く聞かれました。
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登場から55年が過ぎてもなお、その鮮烈さと斬新さが色あせないストラトスゼロ。
博物館などで常設展示されていないこともあり、2度と日本の土を踏まない可能性もあります。
このような「世界の宝」といえる貴重なクルマが見られるのも、オートモビル カウンシルの良さと言えるでしょう。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。






























































