軽スーパーハイトワゴンにもイイ! トーヨータイヤから登場した期待の新顔「オープンカントリーH/T II」と「プロクセスLuK II」をテストコースで試乗チェック

「プロクセスLuK II」は従来品比で転がり抵抗9%低減!

 続いて試乗するのは「プロクセスLuK II」です。プロクセスは1991年に登場したトーヨータイヤのフラッグシップブランドになります。このタイヤはその末っ子となるモデルで「軽スーパーハイトワゴン専用プレミアムタイヤ」。つまり背が高い軽自動車にターゲットを絞って開発された商品です。

従来品比で転がり抵抗が9%低減した軽自動車用タイヤ「プロクセスLuK II」
従来品比で転がり抵抗が9%低減した軽自動車用タイヤ「プロクセスLuK II」

 開発コンセプトは従来品(トランパスLuK)の良さ(=しっかり感、快適性、摩耗性能)を継承しながらもウエット性能アップと転がり抵抗低減を実現とされていますが、要するに総合性能を求めたモデルと言うわけです。その実現のために進化したコンパウンド、専用トレッドパターン、見直された内部構造など全ての部分に手が入っています。

 今回の試乗車はダイハツ「タント」のNAモデルで、ドライ/ウエット路面を従来品とLuK IIで比較しながらテストを行いました。

 まずはドライ路面を走行します。注目の「転がり抵抗低減」は従来品よりも9%低減とのことで、今回は100km/hまで加速→アクセルOFF→10km/hに速度が落ちるまでの距離を簡易計測してみましたが、LuK IIは従来品よりも40m以上も転がりました。中でも30km/h以下になった時の伸びの良さは印象的でした。

 それ以外の性能は「従来品同等」だそうですが、乗り比べると明らかに違います。1つ目は「曲がりやすさ」。従来品は舵(かじ)を入れても応答が遅いので旋回姿勢に持ち込みづらく、ステアリングに頼りがちなコーナリングでしたが、プロクセスLuK IIは舵を入れるとスッとノーズがインを向いてくれるので楽に旋回姿勢に持ち込め、クルマ全体が素直に曲がってくれます。

 2つ目は「挙動の収まりの良さ」。左~右、右~左とレーンチェンジを行う時に、従来品はGの収束の悪さが原因の無駄な動きがフラフラの原因でしたが、LuK IIは横Gの収束が早いので無駄な動きが出にくくクルマが安定しています。同乗者の頭も揺さぶられにくいため、クルマ酔いも起きにくいはずです。

荷重分布の均一化が効いてる!? ウエット路面では「粘りのあるグリップ」を実感した

 続いてウエット路面を走行。LuK IIは従来品に対してウエット制動(=縦方向)で12%高いとのこと。走らせると「曲がりやすさ」と「挙動の収まりの良さ」はドライと同じ印象ですが、1つ異なるのは「グリップの高さ」です。今回はテストコースなのでクルマの限界に近い領域でも走行しましたが、LuK IIは従来品に対して粘りのあるグリップを実感。実際にTCS/VSCの介入も従来品より確実に遅いです。

転がり抵抗以外は従来品と同等性能とのことだが、そうとは思えないほどトータルバランスが向上していると筆者(山本シンヤ)は感じた
転がり抵抗以外は従来品と同等性能とのことだが、そうとは思えないほどトータルバランスが向上していると筆者(山本シンヤ)は感じた

 さらに印象的だったのは、旋回中に“追操舵(そうだ)”が効くことです。従来品では「これ以上切っても無駄かな!?」と感じる領域でも、LuK IIはグリップの余裕に加えてタイヤがヨレる感じが少ないので「まだまだ曲がれるぞ」と懐が深いのです。ちなみに開発者にそんな印象を伝えると、「構造的には剛性は上げていないので、恐らく荷重分布が均一化(=接地性が高い)されたのが大きい」とのことでした。

 これらの要素から、どんな路面でも、より自然/よりラク/より安心した走りが可能でした。プロクセスの思想は「あらゆる状況下において常に高いパフォーマンスを発揮すること」ですが、その名に恥じないタイヤに仕上がっていると感じました。

 そろそろ結論に行きましょう。どちらのタイヤも、ユーザーが「こうだったらいいよね」と思う要望を上手にカバーした商品に仕上がっています。価格は一般的な軽自動車用タイヤより少し高めの設定になりますが、見た目や性能を含めて思わず指名買いしたくなる“価値”を持ったタイヤだと思いました。

【画像】「オープンカントリーH/T II」と「プロクセスLuK II」の詳しい写真をチェックする!(38枚)

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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