国土交通省 中部地方整備局は2025年3月11日、新たな高規格道路「一宮西港道路」の概略ルートを決定しました。

【画像】超便利!? これが「一宮西港道路」の計画ルートです（30枚以上）

　一宮西港道路は、名神一宮JCTで終わっている東海北陸道をさらに南進させ、東名阪道および伊勢湾岸道までつなげるものです。

　これまで東海北陸道の交通流がすべて名神に流れ込んでいたため、一宮JCTは大渋滞ポイントとして知られていました。東海北陸道が伊勢湾岸道へつながれば、交通分散により混雑緩和が期待されます。

　さらに東海北陸道にとって、名古屋臨海エリアの工業地帯や、中部国際空港へ真っすぐ抜けるルートが無く、名古屋高速や名二環などを何度も乗り換える必要があり、不便な状況でした。一宮西港道路が完成すれば、臨海部へ文字どおり直結することになり、さらに西知多道路とともに空港アクセスもほぼ直結となります。

　今回、2回の地域アンケートを経て、ついに概略ルートが確定しました。

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　決定した概略ルートは「東名阪道『弥富IC』を経由するルート」です。

　具体的には、一宮JCTからやや西寄りに進路を変え、西尾張中央道と国道155号のちょうど中間あたりを南下していきます。

　アピタ稲沢、津島市役所、愛西市役所をかすめつつ、東名阪と弥富IC東側で接続し、国道23号（名四国道）と木曽岬IC付近で接続し、伊勢湾岸道と弥富木曽岬IC～湾岸弥富IC付近で接続します。

　ほかの案には、一宮JCTからまっすぐ南進して最短距離で伊勢湾岸道までつなぎ、「西尾張中央道」の上空に高架を建設して用地取得を最低限に済ませる案がありました。

　しかし最終的には「やや迂回し、しかも完全新規ルート」となる弥富経由ルートが選ばれた形です。

　このルートに決定した理由については、地域アンケートで住民や沿線利用者が重視するポイントから分析した結果、以下の条件を満たしたからとしています。

「海部地域の概ね中央部を経過することで地域全体の速達性、定時性の向上、災害時における信頼性の高い道路ネットワークの確保、土地利用の高度化、地域と連携した開発の促進による持続可能な地方形成が最も期待できる」

　つまり、稲沢・あま・蟹江・飛島方面にも、津島・愛西・弥富・木曽岬にも、両方のアクセスを便利にする中間ルートが採用されたこととなります。

　また、用地取得についても、ルート帯は市街化があまり進んでいないため、「既存の道路上空への高架化」と比較してそこまで大きな困難ではないと想定。逆に既存道路を通行規制せずに工事ができ、さらに周辺の生活への影響も小さく抑えることができるメリットがあるといいます。

　計画延長は約28km。「信号ゼロ」で走行可能となることで、一宮JCT～名古屋港の所要時間は「65分→17分」という大幅な短縮が期待されています。

　今後この概略ルートを元に都市計画決定と環境アセスメントの手続きが行われ、それが終わればいよいよ事業化を待つだけとなります。