驚異の全高1.8m超! ダイハツの「軽スーパーハイトワゴン」なぜイマイチ売れなかった? 広大な室内で車中泊も可能!? 「ウェイク」が終了した意外な理由とは
ロングセラーモデルながら、大ヒットとはならずに生産終了となったダイハツ「ウェイク」。軽自動車で主流となったスーパーハイトスタイルに、SUVテイストを盛り込んだ意欲作でした。どのようなモデルだったのでしょうか。
高い全高がウケるはずだった…
2014年にデビューし2022年に生産終了となるまで約8年ものロングセラーとなった、ダイハツ「ウェイク」。
しかし、販売面ではなぜか苦戦し、最終的には販売不振を理由に生産終了となってしまいました。
人気のSUVテイストを盛り込み、大ヒットを狙ったチャレンジングな1台で、一部のファンからは高く評価されたウェイクとはどのようなモデルだったのでしょうか。

各メーカーが輩出する「軽スーパーハイトワゴン」は軒並みヒットしており、ウェイクはそれに続く存在としてダイハツの期待も大きいものでした。
もともとは「視界の良さ」と「荷室の広さ」に着目し、レジャーシーンで活躍する多目的スーパーハイトワゴンとして開発。
とにかくこだわったのが「ウルトラスペース」と呼ばれる軽自動車として最大級の車内空間で、その結果、現行の軽スーパーハイトワゴンを超える1835mmもの全高となり、室内高も軽自動車トップとなる1455mmを実現しています。
ただしこれは諸刃の剣で、全長3400mm以下×全幅1480mm以下という軽自動車枠いっぱいのボディには全高に対するトレッド(左右のタイヤ間の幅)が狭すぎて、広い車内空間は実現できたものの重心までも重心も高くなってしまい、そのままではコーナリングも安定性に欠けるものとなってしまいます。
また背が高い分抵抗も大きく重量もかさむため、燃費も影響することが懸念されました。
しかしダイハツは、このネガティブな部分を打ち消そうとさまざまな工夫をしています。
ウレタンバンスプリングの採用やスタビライザーを搭載し、車体の傾きを抑制。ドアミラーの付け根とリアコンビネーションランプに空力フィンを採用し直進安定性を向上させたほか、ルーフパネルの板厚最適化や外板を樹脂製にしてボディ上部の軽量化を図りました。
しかも軽スーパーハイトワゴンで必要とされる両側スライドドアも装備され、フラットなキャビンで車中泊もしやすいとあって、アウトドアにも適したパッケージとなっていた点も見逃せません。
それでも人気がイマイチ盛り上がらなかった理由はどこにあったのでしょうか。
ダイハツの販売店スタッフに話を聞くと、男性向きのエクステリアデザインと、ウリであるはずの全高が高すぎたこと、さらに空気抵抗による燃費の悪さが、人気が盛り上がらなかった原因と考えているそうです。
「今でも、ウェイクが目指すコンセプトや完成度は決して悪くなかったと思っています。
ただし軽スーパーハイトワゴンを望むお客様はファミリーユースがメインのため、趣味性が強く、男性的なイメージのエクステリアデザインが敬遠されたのかもしれません」
また、経済性が重要な軽自動車としては、燃費がライバルに劣っていたのも弱点だったでしょう。ちなみに最終型(2022年型)のカタログ数値は16.8~17.4km/L(WLTCモード)となっています。
「カタログ数値的にはライバルとそれほど大きく劣っているわけではありませんでしたが、燃費が伸びるはずの高速走行で大きすぎるボディが抵抗となり、実燃費が思ったより伸びないとご指摘いただいたこともあります」(ダイハツ 販売店スタッフ)
しかし、このアクの強さが、中古車市場では好意的に捉えられており、特に趣味性の強いクルマを求めるユーザーからは好評となっているようです。
車中泊もしやすいですし、サーフボードなど長尺物も積載しやすいので、サーファーや釣り好きが購入するケースが多いのもウェイクならではでしょう。
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現在は、タントをはじめ、スズキ「スペーシア」やホンダ「N-BOX」にもアウトドア風のモデルがラインナップされていますが、これらはウェイクとかなり近いコンセプトといえます。
ウェイクがもう少しだけファミリーにも受け入れられるデザインだったら、もう少しだけ重心が低ければ、そして何よりもう少しだけ登場するのが遅かったら、人気車種になっていたのかもしれません。
いやいや、売れなかったのはコマーシャルで『広い広い!』と強調しても、ホンダのN-BOXに広さで負けているのがバレているからだと思うけど。