大相撲の前親方が「駐車禁止免除」の「悪用」疑いで逮捕!? なぜ免除になる?「他人名義」に「カラーコピー」各地で事例多数…一体どんな罪になるのか
大相撲の前親方が、駐車禁止免除のシステムを悪用した疑いで、2025年2月26日に警視庁に逮捕されていたことが報道されました。一体どのようなシステムを悪用し、どのような罪に問われたのでしょうか。
「駐車禁止免除」って? なぜ逮捕?
大相撲の前親方が、駐車禁止免除のシステムを悪用した疑いで、2025年2月26日に警視庁に逮捕されていたことが報道されました。
一体どのようなシステムを悪用し、どのような罪に問われたのでしょうか。

全国の道路上には、数多くの「駐車禁止」エリアが規定されています。これらは法律上の規定の場所のほか、駐車禁止を示す道路標識を設置することで明確にされています。
駐車して目的地へ行きたい場合は、所定の駐車場や駐車可能な場所に停めなさい、ということです。
しかし、身体の障害などにより歩行が困難な人については、これが苛酷になってしまいます。そこで、基準を満たして認められた場合に、「駐車禁止等除外指定車標章」が発行され、除外措置を受けられます。
具体的には、この標章を外から見やすい場所(前面ガラス付近など)に置いておくことで、自分が除外措置の対象であることを明示することが必要です。
ちなみに、法律上の規定の駐車禁止場所(駐車場の近く、防火水槽の近くなど。道路交通法第45条)、駐停車禁止場所(交差点・横断歩道・踏切・坂の頂上・交差点や曲がり角、などの周辺。同法第44条)は、除外措置にはなりません。
さて、このような「駐車禁止等除外指定車標章」は、歩行困難者「本人」へ交付されるものであって、クルマそのものに交付されるわけではありません。
本人以外の人間が使ってはいけません。
今回の前親方が逮捕された事例は、「他人の標章」であるうえに「カラーコピー」を使用した、二重に不正となったものだといいます。
報道によると、逮捕の罪状は「偽造有印公文書行使」となっています。つまり、「カラーコピー」したことをメインの問題と捉えているようです。
こちらは道路交通法ではなく、一般的なルールである「刑法」にあります。刑法158条に規定され、自動車関係では免許証や車検証などの公的文書が当てはまります。
ちなみに、公文書偽造には、作った罪「虚偽公文書作成罪」(同法155条)と使った罪「偽造公文書行使罪」(同法158条)がそれぞれあります。
今回は「使った罪」の疑いだということです。
また、今回はただの偽造ではなく、押された公安委員会のハンコごとコピーしたので、「偽造有印公文書行使」という表現になっているというわけです。
なお、本件はまだ「疑いで逮捕」されただけで、単に取り調べのために身柄拘束したにすぎません。報道によれば本人が容疑を認めているという情報もあるようですが、これからもし送検されて、もし検察が起訴することを決定して、裁判所が有罪だと判断すれば、はじめて「1年以上10年以下の懲役」の中で実際の量刑が決められることとなります。
ちなみに「駐車禁止等除外指定車標章」の偽造での逮捕事例は多く、2021年6月には東京都渋谷区で家族の標章を悪用したうえで、駐車監視員に対する「偽計業務妨害罪」で50代の男が、2024年9月には大阪市中央区で偽造した標章を使用したとして「偽造有印公文書行使」で30代の男が罪に問われています。
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