自動車の「紙カタログ廃止」に物申す! 何でも“デジタル化”の現代社会…「スマホで見れば十分」だけで片付けられない「譲れない魅力」とは
トヨタは紙のカタログを2025年1月から廃止しました。資源の削減などが主な理由です。ただし、ユーザーからするとデメリットもあります。
手間がかかった「紙カタログ」 たしかにムダなのかもだけど…
2023年1月、トヨタ自動車は2025年1月より紙のカタログの制作および印刷を終了すると発表しました。資源の削減や商談の効率アップを理由にしています。
そして今、2年前に告知した「カタログ廃止」の時期になりました。そもそもカタログはどのような意味があったのでしょう。
また、メーカーの事情も理解できますが、ユーザーからすれば廃止になって困ることもあるようです。

まず紙のカタログを制作するには膨大な費用と手間、何より大量の紙やインクを使うので、印刷コストが掛かります。その分、構成はしっかりと考えられています。
ここでカタログの作り方をおさらいしてみます。
多くの紙のカタログは「中綴じ」という製本の方法で制作・印刷されています。この場合、おのずとページ数が決まってきます。具体的には「4の倍数」で収める必要があるのです。
表・裏といった「表まわり」もそれぞれ1ページとカウントしつつ、最低でも4ページ、その次が8ページ、12ページ、16ページ…といった構成になります。
カタログを制作するうえで、「12ページじゃ詰め込みすぎだなぁ。じゃ、2ページ増やして14ページにしよう」ということができないわけではないけれど、効率やコストの面で考えたら「できない」ことと同義です。
そのため、基本的にまず「4の倍数ありき」でカタログの構成を決める必要があります。
またプロカメラマンが撮影した魅力的な写真、これもカタログで見たときに映えるよう、かなりの高解像度で撮影した画像が必須となります。
カタログの役目といえば、ほんの一瞬で「あッ、このクルマに惚れた!」とユーザーに思わせるのが目的です。
つまり、その「奇跡の1枚」にするべく狙うイメージカットの企画や撮影にも、それは信じられないような途方もない手間と時間が掛かります(だからこそやり甲斐を感じるのも事実ですが)。
こうして撮影し、デザインされたカタログ、クライアント(自動車メーカー)の何重ものチェックをクリアしてようやく印刷…といきたいところですが、メーカーが指定する色がきちんと発色できているかどうか「色校正」という、本番の印刷と同じ条件で試し刷りを行います。
ここでクライアント(自動車メーカー)の担当者が厳密にチェックし、OKが出るまで何度も何度も何度も何度も「色校正」を行うことも珍しくありません。
こうして想像を絶するようなさまざまな苦労を乗り越え、ようやく紙のカタログが完成します。
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