トヨタ、「スープラ」の二つの条件とは 直列6気筒のFR駆動であること

ジュネーブショー2018で発表された「GRスープラ・レーシング・コンセプト」について過去全日本GT選手権(JGTC)やニュルブルクリンク24時間にも「スープラ」で出場していた木下隆之が開発責任者に話を聞きました。

驚きの連鎖反応はさらに続く、ル・マン24時間レースに出場!?

 驚きは他にもあります。量産車が公表される前に、レーシングカーが発表されたことです。

「GRスープラ・レーシング・コンセプト」
「GRスープラ・レーシング・コンセプト」と筆者(木下隆之)

 一般的にはまず、量産車が発表され、その後に量産車を改造したレーシンクカーがサーキットを走り始めます。ところが今回は、量産車はまったく公表されていないのに、まずレーシングカーがデビューしました。それは異例なことなのです。

 しかもスープラは、ル・マン24時間にも出場できるLM-GTEという規定に合わせて開発されています。

「LM-GTE規定を選んだのは、改造範囲が広いことです。どうせなら徹底的に改造したかったのでこのカテゴリーを選びました。いざレーシングカーの戦闘力を高めようとした場合に、量産車の段階でこうしておけばよかったのに・・ということが発生します。ですので、あらかじめレーシングカーを開発することで、事前に量産車に細工をしていくためです」(多田哲哉氏)

 まだ実際に参戦するかは発表されていませんが、すでに勝つためのシナリオが出来上がっているのですね。

LM-GTE規定を選択した事でル・マン24時間にも出場可能に

 ジュネーブショーの会場では、とても人気の高いモデルでした。マシンの周りには常に黒山の人だかりができていました。これから話題の中心になることは疑いありません。

【了】

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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