住宅地ではたびたび、自宅の車庫から道路にはみ出して駐車されているクルマが見られます。

　特に道路幅が狭い場所では通行の妨げとなりますが、このような「はみ出し駐車」は違反に当たらないのでしょうか。

　住宅街を通行していると、たびたび自宅の駐車場から道路にはみ出しているクルマを見かけます。

　特に道路幅が狭い場合、はみ出し駐車のクルマがあることで他の車両や歩行者の通行を妨げるケースもあります。

　このような駐車方法に対してSNS上では、「隣の家のはみ出し駐車がクソ邪魔」「近所のクルマの車庫入れがしづらくなる」「曲がり角ではみ出し駐車をされると死角が増えるし、事故を誘発する」など、不満の声が多く寄せられています。

　またクルマが道路にはみ出していると、そのクルマを避けようとした車両が対向車と接触するといった事故の発生も想定されます。

　では、道路への「はみ出し駐車」に法的な問題はないのでしょうか。

　そもそも新車を購入したときや、クルマの住所・所有者を変更するときなどは一部の地域を除き、基本的にクルマの保管場所（車庫）を警察に届け出る必要があります。

　これはいわゆる車庫証明書の手続きと呼ばれるものですが、クルマの保管場所は次の要件を満たさなければなりません。

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1　駐車場、車庫、空き地等道路以外の場所であること。
2　使用の本拠の位置（所有者の住所や会社の事務所など）から2キロメートルを超えないこと。
3　自動車が通行できる道路から、支障なく出入させ、かつ、自動車の全体を収容できること。
4　保管場所として使用できる権原を有していること。
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　保管場所の要件として上記3で「自動車の全体を収容できること」と定められているため、道路にはみ出さないと駐車できないような状態であれば、初めから保管場所として許可は下りないといえるでしょう。

　さらに、自動車の保管場所の確保等に関する法律（通称：車庫法）の第11条では以下のように規定しており、道路をクルマの保管場所として使用することを禁止しています。

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第11条　何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない。
第2項　何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
1号　自動車が道路上の同一の場所に引き続き12時間以上駐車することとなるような行為
2号　自動車が夜間（日没時から日出時までの時間をいう。）に道路上の同一の場所に引き続き8時間以上駐車することとなるような行為
（条文を一部抜粋）
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　つまりクルマを大きく道路にはみ出す形で長時間駐車していると、上記の車庫法違反に該当する可能性があります。

　はみ出し駐車をしている人の中には、車庫内に物置を設置したり自転車を置いていたりしてクルマ全体が収容できなくなっているケースもあるため、クルマをきちんと駐車できるよう、整理整頓をしておくことが大切です。

　加えて、はみ出し駐車は車庫法だけでなく道路交通法に抵触するおそれもあります。たとえば道路交通法第44条第1項第2号では「交差点の側端または道路の曲がり角から5メートル以内の部分」の駐停車を禁止しています。

　そのため道路の曲がり角付近ではみ出し駐車をしていると、この「駐停車禁止場所等違反」に当たることが考えられます。

　また道路交通法第47条第2項においては「車両は、駐車するときは、道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない」と規定されています。

　もし歩道や路側帯などにクルマがはみ出して通行の妨げになっていれば、決められた駐車方法に従わない駐車として「駐車禁止場所等違反」と判断される可能性もあります。

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　SNS上においては「以前、はみ出し駐車をしていてご近所に通報された」「警察が注意しに来ているのを見た」などの体験談も寄せられ、実際に警察官が出動する事例も少なくありません。

　何よりはみ出し駐車は事故を誘発する危険もあることから、駐車の際にはスペース内に収まるように駐車することを心がけましょう。