最近みかける「ナンバー読み取り駐車場」なぜ増加? 利用者側も「ラク」だけど「料金踏み倒し」は起きないの? 「悪質利用者」どうしてる? 実はメリット多い「革新的サービス」 どう成り立っているのか

近年増えてきた「ナンバー読み取り」式の駐車場。一体どのようなメリットがあるのでしょうか。また、精算せずに出庫する悪質な利用者にはどのように対応しているのでしょうか。

ゲートやフラップのない「新しい駐車場」が増加

 商業施設や街中の駐車場では近年、駐車券を受け取ったり、フラップが上昇してロックされたりする従来の駐車場に代わって、「ナンバー読み取り式」の駐車場が増えています。
 
 一体どんな仕組みで、なぜ増加しているのでしょうか。また、精算せずに出庫する悪質な利用者もいるようですが、どう対応しているのでしょうか。

ナンバー読み取り駐車場のイメージ[画像:PIXTA]
ナンバー読み取り駐車場のイメージ[画像:PIXTA]

 ナンバー読み取り式駐車場は、出入口にあるカメラがナンバープレートのすべての桁を読み取ってデジタル管理をしています。

 この情報が精算機へ送信されて、課金が発生する仕組みで、利用者は精算時にクルマのナンバー4桁を入力すると自分のクルマが表示され、支払いを済ませると、出庫できます。

 出口では、再びナンバーを読み取り、精算済みのクルマかどうかを認識します。

 では、ナンバー読み取り式の駐車場には、どんなメリットがあるのでしょうか。

 まずは「大きな設備がいらない」という最大のメリットがあります。これは利用者にとっても、駐車場の管理者にとっても双方のメリットです。

 駐車券方式の場合、利用者にとってはゲートにある発券機の操作が非常に面倒に思います。

 例えばゲリラ雷雨のようなとき。発券機の操作をするために窓を開けると、車内がずぶ濡れになってしまいます。

 そして、そもそも運転に不慣れな人や普段乗らないクルマでは、発券機に近づけることが難しかったりします。

 狭い入口のところでは、ゲートや発券機本体に加え、まわりの柵などに注意しないといけないので、ピタリと発券機の真ん前に停めるのは、もはや至難の業です。

 左ハンドル車で助手席に誰もいないのであれば、いちいちシフトをPレンジに入れて、サイドブレーキを引いて停車させ、降りていく必要もあります。

 しかも、せっかく停めたのに肝心の駐車券をなくしてしまったり、商業施設などで割引処理を忘れたりする可能性もあります。もしかしたら、駐車券をへし折ってしまい、使えなくなったり、磁気部分とキーホルダーが接触して、駐車券が壊れてしまうことも。

 そして出庫するときも、精算するクルマが集結して出口渋滞になるときもあります。このときに出庫するまでの料金もかかり、イライラは増えるばかりです。

 駐車券ではないフラップ式も同様です。クルマのホイールを擦ったり、そもそも段差が高く、低い車高のスポーツカーなど、停められるクルマに制限があったりします。

 ナンバー読み取り駐車場では、こういった設備がないことで、利用者にとってもさまざまなリスクが減ることで、利用しやすくなります。

 駐車場の管理者にとっても、悩みのタネである敷地内の事故や、近隣からの「お宅の駐車場のせいで道が混んでいる」のようなクレーム、発券機やフラップなどの機器管理の必要性がなくなります。

 そして、実は「無断駐車を撲滅できる」という大きなメリットもあります。

 駐車場を無料開放している施設では、店舗を利用しない人による無断駐車が横行しており、駐車場の回転率を下げてしまうという問題があります。

 ナンバーを読み取ることで、こうした「悪質な駐車」を防ぐことができるとともに、自動的に料金が課金されることから駐車場代の売上向上にもつながるといいます。

 さらに、「高いセキュリティが確保できる」点もあります。

 ナンバー読み取り式駐車場を利用している大手スーパーでは、窃盗犯や広域窃盗団のクルマの情報を、あらかじめ精算機に登録しており、エリア内の店舗と情報を共有化。

 もしこの「ブラックリスト」のクルマが入庫すると通知が来るため、警戒態勢をとる仕組みになっているといいます。

 その結果、連続窃盗犯を捕まえた実績や、店内防犯カメラ映像から犯人のクルマの情報を警察に提供できたため逮捕の実績につながったこともあったようです。

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