横浜ゴム製レーシングタイヤの知られざる世界 日本最速のモータースポーツ「スーパーフォーミュラ」から8つの疑問で知る

レーシングタイヤは軽くて柔らかい…それはどうして?

 ただし、溝がないタイヤは排水性がないので雨の路面ではしっかりグリップせず走れません。そのためレースの日が雨などのぬれた路面では「ウエットタイヤ(レインタイヤ)」と呼ばれる、溝付きのレーシングタイヤを使います。

スーパーフォーミュラ用ドライタイヤ「ADVAN A005 A」と「ADVAN A005 B」
スーパーフォーミュラ用ドライタイヤ「ADVAN A005 A」と「ADVAN A005 B」

●レーシングタイヤが軽いのはどうして?

 今回、実際にスーパーフォーミュラ用のタイヤを持ってみて驚きました。市販タイヤでは考えられないくらい軽いのです。ヨコハマのスタッフによると「同じサイズで比べると、一般的なタイヤに比べて6~7割の重さしかない」とのこと。フォーミュラマシンの大パワーや強力なダウンフォースを受け止めるためにはタイヤの剛性が必要な気がしますが、どうして軽く作っているのでしょう?

 まず「軽い」理由ですが、とにかく速く走るためです。車体全体の重量が軽ければ加速性能やコーナリング性能が高まりますし、軽いタイヤは遠心力が減るので加速性能やブレーキ性能も高まります。だからレーシングカーのタイヤは軽く作る必要があるのです。

 ではどうやって軽く作るのかですが、タイヤの断面を一般的な市販タイヤと比べてみると、まずトレッド面(地面に接する部分)の厚みが薄いことがわかります。溝がないのでゴムを厚くする必要がないし、レーシングタイヤでは市販タイヤほどのロングライフを求めていないので、擦り減ったらタイヤ交換することを前提に可能な限り薄くし、重量を抑えています。

 また接地面だけでなくサイドウォールと呼ばれるホイールと接地面を結ぶ「壁」にあたる部分も薄くなっています。軽量で高剛性の素材を使うことで、薄い設計を可能にしているのです。ちなみに、レース中のタイヤは温度が上がりすぎるとグリップ性能が落ちますが、ヨコハマのエンジニアによると「ゴムを薄くすることで温度上昇を抑える効果も高まる」そうです。

 もちろん、レーシングタイヤで培った知見が、スポーツタイヤのADVAN(アドバン)をはじめとした市販タイヤの設計にフィードバックされるのは言うまでもありません。

●でも、雨用のタイヤはあまり軽くない?

 一方で、同じスーパーフォーミュラ用のタイヤでも溝がある雨用のタイヤは晴れの日用のスリックタイヤほど軽くありません。その違いがどこにあるかといえば、溝の存在。溝の深さを確保するために、雨の日用のタイヤは接地面のゴムが厚くなっていて、ゴムを使う量が増えるために重量が増しているのです。

●トレッド面は意外に柔らかくない?

 レース用のタイヤは、しなやかに路面を捉えて粘るように張り付くために接地面のコンパウンドが柔らかいのでは? そう考えている人も多いでしょう。しかし驚くことに、実際のレーシングタイヤのトレッド面に触れても柔らかくはありません。これはどうしてでしょうか?

 実は、レース用のタイヤはある程度発熱した状態ではじめて性能を発揮するように設計されています。逆にいうと、ある程度の熱を持たないと柔らかくならず、高いグリップを発揮できないのです。そのため、熱が入らないときちんとグリップしないと考えて良いでしょう。

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