えええええ!? 都営バス「約8割が赤字」でも生き残っているワケ 「一発逆転の黒字化」を阻む「東京都心」という魔境地帯
都営バスの経営に関する東京都交通局の考えは?
とはいえ、あまりにも収益性が悪いと、持続的な経営に影響しかねません。この点での対策を東京都交通局に聞くと、以下の回答がありました。
「都営バスでは、経営改善に向け、収入、支出の両面からさまざまな取り組みを行っています。
支出面ではこれまでも、民間事業者への営業所の管理の委託や、現業系職員の給与水準の見直しにより、効率的な事業運営に努めてきました。
さらに、コロナ禍を受け、営業所の水道光熱費などの経常的経費や、車両の更新などの投資的経費について幅広く見直しを行っています。
一方、収入面では、需要が高まっている地域においては、路線やダイヤを増強するとともに、大規模な集客施設等とのタイアップや広報誌の発行などにより沿線の魅力をPRし、需要の創出を図っています」
ところで、政府は自動運転の普及によって、ドライバーなどの人手不足を解決しようとしています。すでに路線バスではレベル4の導入が各地で実証段階に入っています。ただし、都営バスにとって、これを採るには障害があるようです。
「都営バスは、都内の厳しい走行環境で運行しており、自動運転の実現には、駐停車車両や自転車の急な飛び出し等を回避することや、急制動時のお客様の安全確保などの技術的な課題があります。
また、自動運転のシステムや安全性に対するお客様や地域住民の方々の理解など、社会的に受け入れられる環境が整うことも必要と考えています」(交通局担当者)
そのうえで、決して活用の可能性が乏しいわけではなく、「将来的に乗務員不足の解消にも資する技術であると考えています。今後も、開発動向を注視するとともに、都営バスのフィールドや運行上のノウハウの提供等を通じて技術開発に協力していきます」と話します。
人口減少など、都営バスに限らず公共交通機関には経営がますます難しい時代になっていきそうです。今後の展望を東京都交通局に聞くと、次の回答がありました。
「都営バスは、関東大震災で被害を受けた都電の代替として100年前にスタートしました。これまで、急激な需要の変化があった際も、路線・ダイヤの工夫により、限られた人員や車両などを最大限活用して、多くのお客様にご利用いただいてきました。
また、東京都が経営する公共交通機関として、車両のバリアフリー化や先進的な環境対応、大規模災害時における被災者の緊急輸送など、都政並びに社会の課題解決に貢献しています。
一方、今後は、人員不足のほか、鉄道新線の開業や新たな交通手段の普及など、事業環境は大きく変化していくことが予想されますが、これからも、お客様や都民の皆様のご利用やご声援を力に、時代の変化に的確に対応することで、期待に応えていきます。次の100年もよろしくお願いいたします」
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