トヨタは2024年10月1日、「プリウス」プラグインハイブリッドモデル（PHEV）へ新たに「G」グレードを追加した。
　
　これまでのPHEVモデル「Z」グレードに対し70万円も安い設定だが、果たして「買い」なのだろうか。

　あまり知られていないことながら、半導体不足で大量の受注残を作ったトヨタは、可能な限りオーダーを絞るべく新型車を出す際、最上級グレードしかラインナップしなかった。

　実際、「アルファード」など売れ行きの良い車種を見ると、基本的に最上級グレードか、そのひとつ下の上級グレードしかカタログに出ていない。

　プリウス PHEVも例外じゃなく、今まで460万円（消費税込み、以下同）で超フル装備のZグレードだけが設定されていた。

　けれどここにきて、受注残も徐々に少なくなってきた。

　そんなタイミングでプリウス PHEVは“G”というグレードを追加したのだった。

　価格といえば、驚くことに390万円。

　金額を見ると「まだ高い」と思うだろうけれど、PHEVは国からCEV（Clean Energy Vehicle：クリーンエネルギー自動車）補助金が55万円出る。実質“335万円”ということだ。

　プリウスのハイブリッド（HEV）「G」が320万円なので、わずか15万円差。いやいや、実際にはもっと縮まる。

　自動車税は、プリウス HEVが3万6500円なのに対し、PHEVだと9000円で、6年だと15万円分安くなる。さらに東京都など自治体によっては課税対象外だ。

　6年も乗らないで下取りに出す場合にも、プリウス HEVより大幅に高い値を付けてくれることだろう。

　どう考えてもプリウス PHEVの方がお買い得と言うことになる。

　さらに自宅に充電環境があれば、1日60kmくらいの移動だと安価な電力だけで走れてしまうのも魅力だ。

　クルマそのものの魅力だって大きい。

　プリウス HEVのシステム出力（普通のエンジンの最高出力に相応）は、2.5リッターに相当する196馬力。0-100km／h加速7.5秒と十分に速い。

　ところがプリウス PHEVときたら、3リッターエンジンに相当するシステム出力223馬力になり、0-100km／h加速6.7秒だ。

　これはスポーツクーペ「GR86」の6.3秒（6速マニュアル）に肉薄する。

　実際アクセルを強く踏み見込むと“エコカー”というイメージは皆無だ。