【試乗】スズキ新型「スイフトスポーツ」は現代のハチロク! その軽さの恩恵とは?(写真23枚)

改めて、なぜハチロクにたとえられるのか?

 さらに素晴らしいと感じたのは、装着タイヤにコンチネンタルの「スポーツコンタクト5」を採用していたことです。このタイヤは高いグリップ性能を誇りながらも路面をしなやかに捕らえてくれる懐の深いタイヤです。折しも当日は小雨が降る状況となりましたが、低い気温でもタイヤの接地感は失われず、極めて高い安心感をもってこれを走らせることができました。

新型「スイフトスポーツ」のホイールまわり。装着タイヤはコンチネンタルの「スポーツコンタクト5」(2017年9月28日、佐藤正勝撮影)。

 唯一残念な部分があるとすれば、このタイヤの剛性や質量に対して、ショックアブソーバーの性能が若干追いつかないこと。高い荷重領域ではピタッとそのグリップを受け止めるのですが、低い荷重領域での荒れた路面ではバネ下の振動を抑えきれない部分が少し見受けられました。これはまさにスズキのボディが世界的に類を見ないほど軽いから起きる現象で、世界的にも特異な軽さに対してタイヤメーカーがもっと対応してくれるようになれば、もしくはダンパー性能が上がることで解決できるはずです。

 こうしてできあがったエンジンと車体を、絶妙にクロスした6速MTのギア比で操ると、理屈抜きに楽しい操作性がもたらされます。今回はクローズドコースでその性能を限界まで引き出したわけではないですが、そのリニアなハンドリングを味わうだけでも、新型「スイフトスポーツ」の潜在能力が推し量れます。そして何より理屈抜きで感じられるワクワク感は、日本のクルマたちのあいだでいつの間にかなくなってしまっていた性能だと感じました。

新型「スイフトスポーツ」の価格は183万6000円(税込)より(2017年9月28日、佐藤正勝撮影)。

 そんな運動性能(楽しさ)を持つクルマが、183万6000円(6MT、税込)で手に入る。だから私はこの新型「スイフトスポーツ」を「現代のハチロク」と表現したのです。

 新型「スイフトスポーツ」は、私たち日本人がリアリティをもって買えるスポーツカーです。古くはトヨタが「86」を出し、最近ではホンダが「シビック タイプR」を登場させましたが、本当はこうした身の丈感のある車種で、スポーツカーを出して欲しいと私はずっと思っていました。

 それをスズキは、新型「スイフトスポーツ」で見事にやってくれたと思います。

【了】
提供:乗りものニュース

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Writer: 山田弘樹(モータージャーナリスト)

自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。レース活動の経験を活かし、モータージャーナリストとして執筆中。並行してスーパーGTなどのレースレポートや、ドライビングスクールでの講師も行う。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

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